私も子どもを殺してしまうかも 家庭崩壊の危機、救ってくれた保育園
待機児童が過去最少の2944人になっても、保育園は新たな課題に直面している。
3年前の6月。この日も、いつもと同じ保育園へのお迎えのつもりだった。
「かっかー!」。2歳6カ月の長女が元気よく、お母さんと呼びながら高浜沙紀さん(30)に駆け寄ってくる。
近くに来た長女は、二つの人形を持っていた。一つは体の前で抱っこして、もう一つは背中におんぶして。
長女の一つ年下には、双子がいる。
そうか。私のまねっこをしているんだ。
高浜さんの目から涙がポロポロと流れ始めた。
2年6カ月の子育てで、やっと訪れた瞬間だった。「かわいい」。わが子が心の底から愛(いと)おしいと感じたのは、この時が初めてだった。
「わが家を救ってくれたのは、間違いなく保育園です」。高浜さんは言う。
2016年に長女は生まれた。
この時から2年3カ月間、子どもは保育園にも幼稚園にも通えない「未就園児」や「無園児」と言われる状態になった。
国のルール→入園絶望的に
高浜さんは孤立した育児を余儀なくされていく。
当時住んでいたのは、東京2…
- 【視点】
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こぼれ落ちる子どもたち
虐待、貧困、性被害……。大人がつくった支援制度からこぼれ落ち、困難に直面している子どもたちがいます。今の国会では、「こども家庭庁」の設置法案などの審議が始まり、子ども政策の転換点を迎えます。今後、子どもたちに救いの手が届くのでしょうか。リアルな声とともに伝えます。[記事一覧へ]