水産業の新たな風評対策を検討へ 政府、福島第一原発処理水の放出で
宮川純一
東京電力福島第一原発から出る処理水の2023年春の海洋放出に向けて、政府は30日、関係閣僚会議を開き、風評被害対策などをまとめた行動計画を改定した。「長期にわたる水産業における影響を乗り越えるための施策」を盛り込み、漁業者向けの新たな支援策を検討する。今後、経済産業省が関係省庁と具体策を詰める。
西村康稔経産相は会見で「漁業者が将来にわたって安心して業務を継続できるよう、新たな基金を創設すべく取り組んでいきたい」と述べた。
処理水の放出による風評対策について、政府はこれまでに、値下がりした水産物の冷凍保管などを支援するための300億円規模の基金をつくり、消費者向けの情報発信を強化している。一方、海洋放出に反対姿勢を貫く全国漁業協同組合連合会は、これとは別に将来にわたり漁業者の経営を支援する「超大型の基金」の創設を求めている。
松野博一官房長官は会議のあいさつで「風評影響に関する懸念の声にしっかりと応えるべく、今後、理解醸成など風評を生じさせないための対策や、事業者支援など風評に打ち勝つための対策を一層強化する」と述べた。(宮川純一)