日本人科学者はなぜ中国に渡るのか 抱いた大志と日本への危機感

有料記事

編集委員・吉岡桂子
[PR]

 中国の大学へ渡る日本人科学者が増えている。東京大学から7年前に上海の復旦大学へ移り、生命科学学院で研究室を主宰する服部素之さん(40)にオンラインで聞いた。なぜ、日本を離れたのでしょうか。(編集委員・吉岡桂子

 上海へ渡った時、32歳だった。

 科学技術振興機構が優れた若手を支援する「さきがけ研究者」に選ばれるなど、脂がのった時期でもあった。ただ、博士号取得後に研究した米オレゴン健康科学大学では、同世代の同僚が次々と自らの研究室を持ち始めていた。

 「日本は『でっち奉公』が長い。研究室を主宰できるようになるまで10年ほど余計にかかる場合が多い。気力も体力も充実する30代を、自分はどう過ごすか。独立した研究者に早くなりたいと考えて、海外への移籍を決めました」

 中国など海外の大学の公募に応じ、オファーを得たなかから復旦大学の教授に就いた。英国の評価会社クアクアレリ・シモンズの世界大学ランキングによると、アジアで上位8位の名門校だ。最新版では京都大より一つ高い。上海は妻の故郷であり、なじみがあったことも大きい。

 「中国の大学は米国帰りの中…

この記事は有料記事です。残り2065文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません。

  • commentatorHeader
    吉岡桂子
    (朝日新聞編集委員=中国など国際関係)
    2022年9月2日16時57分 投稿
    【視点】

    「米国をまねて技術を育てようとしていたら、米国企業が違う次元で新しい技術を開発し、目標が突然変わってしまうことがある。昔、日本の親しい官僚がそんな話をしていたな。追いかける立場じゃなくなったら、新しいものを自ら打ち出す力を育てなければならな