第32回キューバ危機時、世界は考えたくないことを考えた NPT再生の道は

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牧野愛博
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 米ニューヨークで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議は8月26日、最終文書を採択できずに終わった。核問題に詳しい防衛省防衛研究所の吉崎知典研究幹事は「現状のNPTの枠組みのままでは、核廃絶と核抑止の議論を両立できない」とし、「今こそ考えたくないことを考えないと、NPTの機能は発揮できないだろう」と指摘する。

 NPTの再検討会議が最終文書を採択できなかったのは、2015年の前回に続いて2回目。「核軍縮」「核不拡散」「原子力の平和利用」を扱う三つの主要委員会は、いずれも紛糾した。ロシアによる核兵器使用の示唆、核の透明性をめぐる中国の消極的な動き、ウクライナのザポリージャ原発への攻撃など、核をめぐる状況は7年前よりも深刻化していた。

つくられた当時から状況が変化したNPT

 吉崎氏は、NPTが機能不全に陥っている理由について「つくられた当時と状況が変化したからだ」と語る。NPTは1970年に発効。核不拡散体制への契機は、62年のキューバ危機だった。「人々は核戦争の危険を知り、リスクコントロールを始めた。NPTは米ソ間のホットライン開設や、63年に米英ソが調印した大気圏内、宇宙空間、水中の核実験を禁止した部分的核実験禁止条約と並ぶ危機管理の一つだった」

 中国による初の核実験は64…

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