「C」を消そう 写真投稿でがん研究にお金 ナオさんの思いを継いで

上野創
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 Cancerの頭文字「C」を消してがん治療研究への寄付を増やそう――。ネット上で3日からそんな取り組みが始まる。乳がんになったデザイナーの女性が3年前、「がんを治せる病気にしたい」と仲間に伝えて始まった活動。受け継がれ、広がっている。

 活動の名は「deleteC(デリート・シー)」。「がんを消す、治す」との思いを込め、同じ名前のNPO法人が続けてきた。がん征圧月間の9月末まで「大作戦」と称して参加を募る。今年で3回目になる。

 寄付の仕組みはこうだ。

「C.C.レモン」のCに線を引いて撮影、投稿→100円が寄付

 協力を表明した20企業の商品を購入し、商品にあるCの文字を消したり見えなくしたりした状態で写真に撮る。例えば、サントリー社の商品「C.C.レモン」の「C」のロゴに斜線を引いて撮影する、などだ。

 「#deleteC大作戦」「#企業名(またはブランド名)」を付け、がん対策への思いも自由に書いてツイッターインスタグラムに投稿する。1投稿につき100円が、その企業からNPOを介して、研究に寄付される。

 また、協力企業の公式アカウントが発信する画像に「いいね」やリツイートをしたり、動画を再生したりすると、同様に企業から10円が寄付される。

 企業側のメリットは、商品の購入や認知度アップにつながり、社会貢献の機会にもなること。カルビー、コクヨ、サイボウズ、セメダイン、NTTドコモなど業種は様々だ。企業以外に、一般社団法人の京丹後青年会議所も初参加する。

 一昨年9月の写真投稿は約9千件、昨年9月は約2万件。今回は5万件を目指すという。こうした過去2回の「大作戦」や、それ以外の個人・企業から寄せられた寄付から、これまで6人の研究者に計2100万円を提供した。寄付先は公募し、医療者・研究者も加わった選考委員会で決めている。

 NPOの小国(おぐに)士朗・代表理事は「専門家でない自分たちでもがん治療の前進のためにできることがある。SNSの投稿やリツイートなら負担も少ない。がんは重いテーマだが、寄付は多くの人にカジュアルに参加してもらいたい」と話す。

「治せる病気にしたい」と活動 悪化する病状

 発起人は横浜市のデザイナー中島ナオさん。31歳だった2014年、乳がんが分かった。治療を受けたが、病は進行した。

 「がんをデザインする」と掲げ、思考の変化でマイナスの出来事の受け止め方を変えようと決意。「がんになっても大丈夫といえる社会」を目指して17年に起業した。経験を元に、髪があってもなくても楽しめる帽子や、下着を着けなくても周りの目が気にならないブラウスなどを生み出した。

 19年には「みんなの力で研究を後押しし、がんを治せる病気にしたい」と小国さんに相談したことをきっかけに、NPO法人「deleteC」を設立した。歌手のAI(あい)さんや大リーガーの菊池雄星さんらの協力も得て精力的に動き続けたが、昨年4月に亡くなった。

 「治療の研究は希望の種、研究者や医療者は希望の存在そのもの。その希望をどれだけ応援し、増やしていけるか、と彼女は何度も話していた」と小国さんは言う。「暗く、重く」なりがちながんのイメージを、「あかるく、かるく、やわらかく」という姿勢で変えていく「行動規範」も、中島さんは残した。誰もが気軽に参加できる仕掛け作りの根底にあるという。

 3日の「一斉投稿」の呼びかけや、寄付金を提供した研究の現状報告、企業が参加する企画など、期間中はオンラインイベントの予定もある。詳しくはホームぺージ(https://www.delete-c.com/別ウインドウで開きます)で。(上野創)