引退控えた習氏側近が一転、検察幹部に 異例の人事で司法部門も支配

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北京=冨名腰隆
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 中国の全国人民代表大会全人代、国会に相当)常務委員会は2日、習近平(シーチンピン)国家主席の側近として知られる前湖北省トップの応勇氏(64)を最高人民検察院(最高検)の副検察長にあてる人事を発表した。共産党関係者によると、来年3月に検察長(検事総長)に昇格する見通し。第一線から退いていた応氏を司法部門の要職に登用する異例の人事で、習氏の意向が強く働いたとみられる。

 浙江省の警察官出身の応氏は、2000年代に習氏が同省トップだった時代に高級人民法院長を務め、信頼を得た。07年に上海へ移り、司法部門でキャリアを積んだ後、17年に上海市ナンバー2の市長に抜擢(ばってき)された。

 20年1月、湖北省武漢市で新型コロナウイルスの感染が拡大すると、その翌月に同省トップの党委書記に就任した。市民の移動を厳しく制限する「都市封鎖」を続け、省内で4千人以上が亡くなり経済活動がストップする犠牲を払いつつ、感染を抑え込んだ。

 だが、今年4月に名誉職の全人代憲法・法律委員会副主任に転任。10月16日に開幕する党大会には約2300人の代表が出席するが、その名簿に応氏の名はなく、今期での引退が有力とみられていた。

 内情を知る党関係者は「応氏…

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    安田峰俊
    (ルポライター)
    2022年9月2日18時48分 投稿
    【解説】

    応勇氏は最初期の武漢コロナパンデミックの後、責任をおっかぶされて半失脚状態になった湖北省元トップの蒋超良にかわって省トップに据えられた、習近平派の人物です。 一般的に言われる話としては、習派は阿りに長けてお友達人事のなかで出世した人物

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