「呪術廻戦」に登場してもお茶離れ深刻、老舗店が飲み放題のサブスク

福岡龍一郎
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 【宮城】お正月の初売りや菓子「喜久福(きくふく)」などで知られる「お茶の井ケ田(いげた)」(仙台市青葉区)が月額料金(税込み1080円)を払えば、急須で入れたお茶が飲み放題になるサブスクリプション(定額)サービスに取り組んでいる。きっかけは、採算よりも日本茶文化が衰退することへの危機感だった。

 同社は1920(大正9)年創業のお茶の専門店。抹茶味のソフトクリームや菓子も人気商品で、4年前には生クリーム大福「喜久福」が週刊少年ジャンプ集英社)で連載中の人気漫画「呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)」に登場し、多くの若い客が店に押し寄せるようになった。

 ただ、訪れた若い客が売り場の半分を占める茶葉や急須に目をくれることはほぼなかった。茶葉を買い求めるのは年配の常連客がほとんどで、同社の茶葉の売り上げは長期的に減少傾向にあるという。ペットボトル飲料の普及のほか、コーヒー飲料など飲み物の多様化が背景にある。店舗開発部の野本遥さん(40)は「会社の新入社員でさえ急須を使ってお茶を入れた経験がない人が増えた」という。

 何とかお茶離れを食い止められないか――。老舗が目をつけたのが、映画音楽配信サービスで若い世代には親しみやすい「サブスク」形式だった。6月に始め、専用のボトル(同1100円)を購入して月額料金を払うと、急須やティーバッグで入れた緑茶やほうじ茶など9種類のお茶が1日何回も、飲み放題だ。

 お得感に加え、若い社員の意見を採り入れた専用ボトルはスタイリッシュに仕上げ、若い世代の関心を引くように腐心した。約100人が利用しているというが、もうけはほぼなく採算度外視だという。「でも、このままだと急須の日本茶文化は廃れていく。何とか一石を投じるきっかけにしたい」と野本さんは話す。

 20~30代からの申し込みもあり、ジムや会社へ向かう途中にお茶を入れていく人が多いという。宮城県内を中心に10店舗で実施中だ。(福岡龍一郎)