「昭和レトロ」な鉄道会社が迫られた決断 救ったのはファンの底力

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筋野健太
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 1872年10月14日、日本初の鉄道が東京・新橋と横浜間、約29キロで正式開業してから150年。

 人や物の移動に大きな役割を担って、社会や産業の近代化、戦後の高度経済成長など日本の発展を支えながら全国に広がり発達してきた鉄道。だが、都市への人口集中、地場産業の衰退などにより地方路線の利用者数が減り続け、1980年代をピークに鉄道路線は縮小を続け、鉄道が走る風景が各地から消えつつある。

 苦境に立たされるローカル鉄道――。しかし、そんな中でも各社は知恵を絞り、様々な工夫をこらして鉄道を利用してもらおうと取り組んでいる。

 全国各地を訪ね、ローカル線各社の取り組みを紹介します。

【動画】水島臨海鉄道の貨物線「港東線」の前面展望マルチアングル映像を往復ノーカットで収録=白井伸洋撮影

特別な許可なしには立ち入れない水島臨海鉄道の「キハ37」「キハ38」の運転席にカメラを設置し、旧国鉄型車両から見る沿線風景やアナログな運転台の機器を操作する運転士の訓練された技術や車両のエンジン音などを撮影した。あたかも実際に乗っているような映像を届けます。

昭和レトロ」で人気増 水島臨海鉄道

 近年、人気が高まっている「昭和レトロ」。そこに目を付け集客している鉄道会社がある。

 水島臨海鉄道(岡山県倉敷市)では昨年、クラウドファンディング(CF)で資金、約2400万円を集めた。その目的は、保有する旧国鉄時代のディーゼル気動車3両の再生だ。

 全国で同社だけが営業運転を続ける「キハ37」。1983年製造で、2013年に主にJR久留里線(千葉県)を走っていた車両をJR東日本から購入。朱色とクリーム色の「国鉄標準色」だった車体を、CFで「新首都圏色」と呼ばれる製造当時と同じ鮮やかな赤色に塗り直した。

 同じく現役の「キハ38」。1987年製造で、2013年に主にJR八高線東京都埼玉県群馬県)やJR久留里線を走っていた車両をJR東日本から購入。こちらもCFで「国鉄標準色」だった車体を白色に赤いラインが入った「八高線色」と呼ばれる製造時のカラーリングに塗り直した。

 3両の中でも同社の「レジェンド」的存在が、「キハ205」だ。かつて旧国鉄などで、系列をふくめ1千両以上造られ、全国で活躍したキハ20系車両で、同社にも12両が在籍していた。しかし保有する最後の1両だった1960年製の「キハ205」も、2017年3月に現役から引退。年に1回程度イベントで公開する以外は車両基地に留置され、車体全体がさびて所々に穴が開き、バッテリーやエンジンを始動させるためのモーターが故障するなど、年々老朽化が進んでいた。

 そんな中、イベントの運営なども担う運輸部旅客係リーダーの大森史絵さん(43)に、決断を迫る声が掛けられた。

 「コロナによる売り上げの落ち込みで、もう置いておけませんよ」

 廃車を進める、会社の方針だった。

 新型コロナウイルス感染拡大…

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