第1回「カエル跳び」の技術躍進 熱気あふれるアフリカ版シリコンバレー
アフリカ発のスタートアップ(新興企業)が躍進している。金融とITを融合した「フィンテック」を中心に、社会課題を解決しながら利益につなげるビジネスが次々に生まれる。東西の「アフリカ版シリコンバレー」の現在地を探った。
ケニアの首都ナイロビは、東アフリカ経済の中心地だ。昨年9月上旬、街にはいつものようにクラクションの音が響いていた。行き交う若者たちはスマホを片手に英語を話す。
ナイロビはアフリカ・ビジネスの玄関口として、国内外の起業家と投資マネーを呼び込んできた。英語が通じ、通信環境も充実。優れた送金システムも、起業家たちに好まれる理由だ。
いまスタートアップの競争は激しさを増し、もともと現地に根づいていなかった技術を一足飛びに発展させる「リープフロッグ(蛙跳び)」現象が連鎖的に起きている。
2050年に25億人を抱えるとされるアフリカ。「最後の巨大市場」に、世界中から挑戦する人たちが後を絶たない。最先端の技術を利用したビジネスが次々と生まれ、急激に変わろうとしている。
モバイルマネーが可能にしたアフリカでの融資
「自分の車を手に入れて、稼ぎたいんだ」。ナイロビの街を見下ろすビルに入る日系スタートアップ「ハッキ アフリカ」の事務所で、タクシー運転手のフレデリック・ムサウさん(33)は、そう言ってはにかんだ。同社から融資を受けて、まもなく新しい車を手に入れる。「家族のためにも稼いで返済し、さらにビジネスを広げたい」
3年前、小林嶺司(れいじ)…
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