増え続ける児童虐待、一時保護にAIも活用 国が新たな総合対策

こぼれ落ちる子どもたち

中村靖三郎
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 子どもへの虐待が後を絶たないなか、政府は防止に向けた新たな総合対策をまとめ、5日公表した。児童相談所(児相)で相談にあたる児童福祉司らの増員計画を年内につくるほか、一時保護の必要性の判断にAI(人工知能)を活用するなどして負担軽減を図る。

 全国の児相が対応する児童虐待は年々増え、2020年度には20万件を超えた。政府は18年、児童福祉司を4年間で約2千人増員する計画を策定。その後、計画を前倒しして今年度末までに5765人に増やす目標を立てた。だが虐待の急増に追いつかない状態で、23年度以降もさらに増員することにした。

 新たな対策では、児相が一時保護の必要性を判断する際、AIを活用する方針も盛り込んだ。過去に起きた膨大な虐待のデータをAIに取り込み、個々の案件と照らし合わせて必要性の度合いなどを算出。職員の判断を補助する。

 厚生労働省の担当者は「経験の浅い職員が増えており、AIを使うことで判断のぶれの補正に使える」と話す。すでに三重県東京都江戸川区など一部の自治体でAI導入の先行事例があるが、国としてのシステムを今年度から設計開発し、24年度に全国での運用開始をめざす。

 このほか、親の交際相手への調査を徹底したり、SNSのアカウントを開設して相談しやすくしたりする。来年4月に発足するこども家庭庁が、新たな対策の司令塔的な役割を担う。(中村靖三郎)

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虐待、貧困、性被害……。大人がつくった支援制度からこぼれ落ち、困難に直面している子どもたちがいます。今の国会では、「こども家庭庁」の設置法案などの審議が始まり、子ども政策の転換点を迎えます。今後、子どもたちに救いの手が届くのでしょうか。リアルな声とともに伝えます。[記事一覧へ]