メリーゴーラウンドがやってきた! 病気と闘う子どもたちに贈りもの
【神奈川】重い病気と闘う子どもたちに遊園地の雰囲気を届けよう――。横浜市金沢区のこどもホスピス「うみとそらのおうち」(略称・うみそら)に移動式メリーゴーラウンドが届けられ、子どもとその家族ら5組が、夏のお祭り気分を楽しんだ。
京浜急行金沢八景駅から徒歩約15分。平潟湾へ流れ込む川沿いにうみそらはある。小児がんなど難病と闘う子どもとその家族がリラックスして過ごすことができる施設として昨年11月に開設された。
医療機能を併設していない「コミュニティー型ホスピス」で、安全に遊べる遊具や家族で楽しめる浴室、宿泊設備を備えている。
そのうみそらに今月3日と4日、移動式のメリーゴーラウンドがやってきた。チャリティーコンサートなどの活動を続ける音楽家の蛇目(じゃのめ)泰子さん(47)=横浜市保土ケ谷区=が利用者に楽しい思い出をプレゼントしたいと、クラウドファンディングを実施。約百万円の支援が集まり、移動式メリーゴーラウンドのほか、マジックショーや風船などが用意された。
3日は利用者の子どもとその家族3組と、さらに施設の利用経験がある遺族2組が参加。4日は地域の住民に開放した。
先天性の染色体異常のため車椅子生活を送る川崎市の落合恭子さん(6)は、父・剛さん(43)と母・純子さん(44)と一緒に初めてメリーゴーラウンドを体験した。車椅子のまま乗り込み、台が回転すると不思議そうに目を見開き、くるくると飛んでいく空を見つめていた。
そんな恭子さんの表情に剛さんも「楽しんでいますね」。言葉はでないが、手の動きや顔の表情で喜怒哀楽をはっきり表現するという。剛さんは「また一つ、新たな経験ができた。家族のいい思い出になります」。
落合さん夫婦は友人の紹介でうみそらを知り、8月末に見学に来たばかり。医療機関ではなく、看護師や保育士などのサポートを受けながら「普通の生活」を楽しむ施設と知り、「ぜひ利用したいと思った」と純子さん。近く友人家族と利用する予定だ。
うみそらを運営するNPO法人横浜こどもホスピスプロジェクト代表理事の田川尚登(ひさと)さんは「有志の方々に素敵なイベントで応援して頂き、本当に感謝。この施設を多くの方々にご利用頂き、ご厚意に報いたい」と話していた。(浜田奈美)
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〈横浜こどもホスピス「うみとそらのおうち」〉 NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトが設置、運営している。設立から運営まで寄付でまかなっている。英国で生まれ、欧米で広がった「こどもホスピス」は終末期医療の機関ではなく、重い病気の子どもとその家族を支えることを目指す。問い合わせは同プロジェクト(045・353・3153)へ。
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