ホロホロ鳥に有機野菜 都内に茨城の高級食材使ったレストラン開業
茨城産の食材を味わってもらい、その良さを伝えることをコンセプトとするレストラン「ビストロ・エイト」が、東京都内にオープンした。県内の高級食材を使って、欧州で修業したシェフが腕を振るう。
店は高級住宅街として知られる渋谷区松濤(しょうとう)の入り口にあり、8月15日にオープンした。県内の有機野菜やチーズ、ホロホロ鳥やカモ、梅山豚(メイシャントン)、常陸牛、魚介類などを使った料理を用意している。2階建ての各フロアに24席。アラカルトは800円から、コース料理は予算に応じて提供する。
初めて扱う食材もあるというシェフの松本達也さん(35)は、イタリアのシチリアや南フランスで修業したことがある。「素材の特長を生かすのはもちろん、メリハリを利かせた味付けで楽しませたい」と話す。
プロデュースしたのは、ひたちなか市にある日本料理店「京遊膳 花みやこ」店主の西野正巳さん(57)。県の食のアンバサダーも務め、料理研究グループ「常陸国(ひたちのくに)ガストロノミー」も主宰する。ガストロノミーは、美食学や料理と文化の探求を意味する。
グループには県内の農業生産者や全国のシェフなど約50人が参加。新規取引や料理の発展を目指し、希少食材や特産品の産地視察などを重ねる。レストランでは主にメンバーが丹精した食材を使う。
関係者向けの試食会には、日本ガストロノミー協会の柏原光太郎会長も参加した。柏原会長は、地方のおいしい店を発掘する「ディスティネーション・レストラン」や食をテーマに旅する「フードツーリズム」に注目が集まっていると指摘する。「そんな中で茨城がどう取り組んでいくのか、興味深い」と話す。
「エイトはレストランであり、商談の場でもある」。西野さんは、単に県産食材を出す店ではないと強調する。
茨城産の食材は大量生産のイメージがあり、優れた生産者の食材でも、市場では安く扱われてしまうことも多いという。「都内のシェフたちにも県産の厳選食材を食べてもらい、適正価格で扱ってもらえるようにしたい。茨城色を前面に出していく」と意気込む。(ライター・神野泰司)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。