「わからなければ辞書を引け」 号泣の夏、村上宗隆に師が贈った言葉

有料記事

構成・安藤嘉浩
[PR]

 三冠王に邁進(まいしん)するヤクルトの村上宗隆選手(22)は今季も、四球がすでに100個を超えた。

 「高校時代から選球眼はよかった。ボール球を打ちにいったら、私が怒ったからね」と九州学院高(熊本)の監督だった坂井宏安さん(65)は語る。

 ストライクを打つ。野球というスポーツはよくできていると思うよね。ボール球に手を出したら、ヒットになる確率はグーンと下がるんだから。

 打ちたい、打ちたいではダメなんだよ。悠然と構えて、本塁ベース上に来た球を打つ。ちゃんと我慢ができるかどうかも、打者は試されている。

 ヤクルトでレギュラーに定着したプロ2年目は、まだ自信がなかったんだろうね。「打たなきゃいかん」という思いで、ボールを追いかけていた。だから、三振が多かったでしょ(184個)。

 プロの投手に慣れるに従い、怖さもなくなっていったんだろうね。人間は自分の方が弱いと思うと、自分から仕掛けようとするでしょ。

 テレビで見ていて、そういう雰囲気が、昨年あたりからなくなったよね。

 高校通算は52本塁打。清宮幸太郎君(東京・早稲田実―日本ハム)の111本に比べたら少ないけど、打席数の半分ぐらいが四球だった。

 ムネ(村上選手)は、ちゃんと我慢ができる生徒だった。もちろん、ボール球に手を出したら、私に怒られるしね。バットを置いて、悠然と一塁に向かっていた。

 ただ、高校最後の夏は苦しんでいた。熊本大会の2回戦は、下級生の本塁打でやっとこさ勝ったの。

 ムネが下を向いているから、「なにやってんだ」と怒ったんだ。

 そしたら、「やろうと思って…

この記事は有料記事です。残り1927文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません