「『野良犬』とパワハラ受けた」 ウクライナ人女性が元勤務先を提訴

ウクライナ情勢

浅田朋範
「パワハラ」を訴えているウクライナ人女性と上司のやり取りを録音した音声=女性の代理人弁護士提供
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 上司からのパワーハラスメントが原因でうつ状態になったのに対策を講じなかったとして、奈良県内のウクライナ人女性(27)が9日、東京都内の物資輸送会社に対し、550万円の損害賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。

 訴状によると、女性は2018年8月から、同社の奈良市内にある事業所で契約社員として勤務。20年1月ごろから上司の男性課長によるパワハラが始まり、有給休暇の取得を否定されたり、理不尽な叱責(しっせき)を受けたりし、「野良犬」「早く帰りや、ウクライナ」といった暴言も浴びせられたという。女性は21年5月、うつ状態と診断された。

 また、ロシアのウクライナ侵攻が始まった後の今年4月、女性がロシアとの取引業務への関与を避けたいと申し出ると「仕事を選ぶ人間」などと記したメールを社内で共有されたほか、女性にも聞こえるような声で、他の従業員と「(侵攻は)ウクライナも悪い」などと話題にされたと主張。弟が徴兵されており「ショックを受けた」という。

 女性は男性課長の異動などの対応を求めたが実現せず、7月末に雇用契約が満了し、更新されなかった。

 女性は提訴後の会見で「あの日の言葉は今でも響いている。何年経っても忘れられない」と語った。

 同社は取材に対し「提訴を把握していないのでコメントできない」とした。(浅田朋範)