「命の教育」模索の時期 教育効果は?動物福祉への観点は?

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東京文化部 太田匡彦
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取材考記

 この夏、子どもに命の大切さを教え、他者への思いやりの心を育む、いわゆる「命の教育」について、専門家や教育関係者らに取材を重ねた。記事を書き終え、ふと通っていた小学校の卒業アルバムを開いてみて、驚いた。校舎のすぐ前に立派な飼育小屋が立っていた。飼育委員会の面々はウサギやニワトリのほかカモまで抱えて写っていた。

 ウサギがいたことはうっすらと覚えている。でも飼育小屋やカモの記憶は全く残っていなかった。写真を見ても、自分のなかに何もよみがえってこない。動物たちは「教材」として飼われていたのに。

 命の教育の典型的な手法として、幼稚園や小学校でウサギやニワトリを飼育したり、動物園でテンジクネズミ(モルモット)などの小動物にふれあわせたりする「動物介在教育」が広く行われている。命の教育の重要さは言うまでもないが、わざわざ生きた動物を使う必要があるだろうか。疑問の声が確実に大きくなっているのを、取材を通じて実感した。

 問題は大きく二つある。一つ…

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