職員の持ち家手当が復活? 佐倉市が議会提案 全国9割で廃止済み

伊藤繭莉
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 千葉県佐倉市職員の持ち家に対する手当を復活させる条例改正案が、開会中の8月定例市議会に提案されている。地方公務員の持ち家手当については国が廃止を求めており、すでに全国で9割の市町村がやめている。県内でも持ち家に住宅手当を出す自治体はない。佐倉市では災害対応の迅速化のためだとしており、審議の行方が注目される。

 議案は市長提案。現在は家を所有する職員に対しての住宅手当はないが、改正案は持ち家が市内の場合に限って新たに月3千円を支給。一方、市外の賃貸住宅に住む職員への住宅手当の上限を、現状の2万8千円から2万円に減額。市内の賃貸住宅への手当は上限2万8千円のままとする。

 提案理由を市担当部署は、市内在住ならば災害時に役所などにより早く参集できるとして、「災害時には迅速な対応をすべきで、(職員の)市内の居住を促進したい」と説明した。

 市人事課によると、現在の市外在住の職員の割合は全体の約半数。新たな制度改正に伴う費用は、市外の賃貸住宅に住む職員の手当を減らしたことから、1カ月あたりの費用は現状を若干下回る見込みだ。今後職員の市内の持ち家が増え、費用が現状より上回る可能性があるが、「その場合は市内居住促進が実現できたことになる」(市人事課)とする。

 人事院によると、国家公務員の持ち家に対する手当については、2009年に廃止された。民間企業でも同様の仕組みが少なくなり、公務員優遇との批判も背景にあった。総務省でも同年に地方自治体に向けて、「廃止を基本とした見直しを行うこと」と通知を出した。昨年4月時点で、全都道府県と全国9割の市町村が廃止している。

 佐倉市では13年に廃止していた。市議会内でも、今回の持ち家手当の復活案に対しては一部の市議から、「持ち家という個人の財産に手当を出すのはおかしいのではないか」「親族の介護など市外に住む職員にも理由がある」など疑問の声が上がっている。

 議案は、12日の総務常任委員会で審議され、28日の本会議で採決される。(伊藤繭莉)

名城大学・昇秀樹教授(地方自治論)の話

 2009年に総務省が廃止を通知した地方公務員の持ち家手当と、今回佐倉市が導入を目指している住宅手当では政策目的が異なる。そのことを市民に納得してもらう制度設計にしなければいけない。(今の改正案では)災害業務に全く関係ない職員に対しても一律で、個人の資産に税金で手当を出すことについては、説得力に欠ける部分もある。賛成反対の二元論ではなく、市長部局と市議会で話し合い、修正していくことが望ましいと思う。