「告発したい」性被害の相談増えたけれど 弁護士が語る期待と懸念

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聞き手・伊木緑
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 ジャーナリストの伊藤詩織さんが性被害を告発してから5年。性犯罪をめぐる司法の現場や被害者の心情にどんな変化を生んだのでしょうか。性犯罪被害者の支援を中心に活動している弁護士の上谷さくらさんに聞きました。

 ――伊藤さんの告発の後、変化を感じることはありますか。

 「伊藤さんが顔を出して実名で告発したことは、とてもインパクトがありました。その前後から、性犯罪被害者からの相談は増えています。同じころ、性犯罪に関する刑法改正や財務事務次官によるセクハラ問題などもあり、『私が黙っているのはおかしい』という意識が少しずつ根付いてきているように思います」

 「『警察や弁護士に相談に行ってみようかな』と思う心理的ハードルは確実に下がりました。公訴時効が過ぎていても、加害者に対して任意で交渉できます。幼いころ性被害を受けて心身に不調を抱える人が、数十年を経て慰謝料を受け取り、気持ちに区切りをつけられたケースもありました。弁護士に相談しただけで気持ちの整理ができた人もいれば、臨床心理士などにつなぐことで回復できることもある。なにが被害回復につながるかは人それぞれなので、その選択肢が広がったことはとてもよかったです。複数の機関や専門職が連携して、手厚くサポートすることは、被害回復に不可欠です。今後は当たり前になってほしいと思います」

自分にとっての被害回復の道を

 「そうして社会を変えた意義ある告発でしたが、心配していることもあります」

 ――どんな点ですか?

 「伊藤さんの告発は影響力が…

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