「ここまで待たされた家族が気の毒」 知床観光船沈没、3遺体が到着

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長谷川潤 佐野楓、神村正史、中沢滋人 里見稔、角詠之
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 北海道・知床半島沖で4月に観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、北方領土国後島とロシア・サハリンで5~6月に見つかった3人の遺体が10日朝、海上保安庁巡視船「つがる」で小樽港(北海道小樽市)に到着した。遺体はロシア側のDNA型鑑定で乗員・乗客3人のデータと一致している。今後、第1管区海上保安本部が改めて鑑定を行い、身元を特定する。

 サハリンでロシア側から遺体の引き渡しを受けたつがるは10日午前8時すぎ、小樽港岸壁に着岸。検疫などの手続き後、午前8時35分ごろから船後部付近に3台の車が順次停車した。3人の遺体は青いシートで覆われた車に移され、搬送された。1管本部の川越功一次長は「遺体がお帰りいただいたことに安堵(あんど)している。道警の協力を得て身元の特定を進め、できるだけ早くご家族のもとにお返ししたい」と話した。

 港では海保関係者らのほか、20人ほどの一般の人も搬送を見守った。小樽市の男性は、車の出発のたび妻と手を合わせた。「事故から5カ月近くもたって、やっと戻ってきた3人を見送ってやりたかった。冷たい海に投げ出されて寒かったろうに……」と声を詰まらせた。

 遺体は、5月に国後島で見つかった男女と、6月にサハリン南部で見つかった男性の計3人。ロシア側の鑑定では、国後島の遺体はカズワン甲板員の曽山聖(あきら)さんと道内の女性、サハリンの遺体は、道内の男性とデータが一致した。

 遺体引き渡しをめぐっては、ウクライナ問題で日ロ関係が悪化する中、外交ルートでの調整が長期化。8月下旬に両国が引き渡しに合意した。今月8日、つがるがサハリンへ向かい、9日午前にサハリン南部のコルサコフ港で遺体が引き渡された。

 観光船の沈没事故は4月23日に発生した。乗客・乗員計26人のうち15人の死亡がすでに確認されており、今回の遺体の身元が確認されれば、残る行方不明者は8人になる。(長谷川潤)

「お嫁に行くという、これから一番楽しい時に、かわいそうでたまらない」

 事故発生当初から現地対策本部に詰め、乗客家族らへの説明や支援にあたった北海道斜里町の馬場隆町長(71)は、「(ロシア側の)DNA型鑑定で身元が分かって以来、ご家族は『早く早く』と、もどかしさを抱えながらひたすら待っていた」と話す。「行方が分かっていない方はまだ8人残っている。ご家族は何かが見つかる度に『自分の家族ではないか』と思い、『何か見つけてほしい』と願い続けている。願いが早くかなうことを祈るばかりだ」という。

 3人の遺体は5月上旬から6…

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