4連覇の王者から劇的白星 29年ぶり1部・東洋大の三つの勝因

野村周平
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 番狂わせが起こりにくいラグビーで、29季ぶりに1部に復帰した東洋大が、それを起こした。

 関東大学リーグ戦4連覇中で、昨季の全国大学選手権4強の一角である東海大を27―24で破り、大金星をあげたのだ。

 外国人留学生を軸としたFW戦、特にラインアウトで優位に立てたのが一つ目の勝因だ。

 守備機会では南アフリカから来た211センチのロック、ジュアン・ウーストハイゼン(1年)が前方に立ち、東海大のミスを誘発。優勝候補の攻撃機会を何度もつぶした。

 二つ目は明確な選手起用。

 福永昇三監督は後半、ベンチにいる8選手全員をグラウンドに送り込んだ。2連続トライを許した後、元気な選手たちがチームに活力を与え、盛り返しの原動力となった。

 象徴は後半36分の逆転トライの場面だ。

 スクラムを押し込んで反則を奪い、そこから敵陣深くのラインアウトに。

 連続攻撃で東海大の堅守を間延びさせ、最後は途中出場のバックス、ボンド洋平(2年、東海大相模)が右隅に飛び込んだ。

 三つ目にして最大の勝因が、激しいタックルだろう。

 守りの要のCTB繁松秀太(4年、札幌山の手)を中心に、抜かれた後のカバー防御が機能した。

 最終盤の相手の猛攻に防御の隊列は崩れかけたが、最後は副将のSO土橋郁矢(4年、黒沢尻工)が体を張って食い止めた。

 劇的な逆転勝利。ノーサイドの笛が鳴ると、東洋大の選手たちは跳びはねて喜びを表した。

 チームは練習場に「東海大戦まであと○日」と掲げ、この日に王者を倒すことを見すえて長く準備してきたという。

 主将のロック斎藤良明慈縁(らみんじえん)(4年、目黒学院)は「人生を生きている中で、こんなに素晴らしい舞台で戦えることはそうそうない。感謝でいっぱいです」とかみしめた。

 昨年に1部昇格を決めてから、主将は常日頃、仲間にこう繰り返してきたという。

 「俺たちは日本一すら目指せない場所で頑張ってきた先輩たちを代表して戦うんだ。自分一人だけの力でラグビーをしている選手は、ここには誰もいない」

 リーダーのそんな姿勢は、日本に来たばかりのウーストハイゼンにも伝わっていたようだ。

 「キャプテンは円陣で盛り上げるのがうまい。彼の声を聞くと落ち着きます。素晴らしいキャプテンがいるから、試合中に崩れないで頑張れた」

 東洋大OBの福永監督は三洋電機(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)での現役時代に日本一を経験している。

 ワイルドナイツとの提携など環境整備を進めてきた一方で、選手たちの自主性を大事に育ててきた。

 この日のテーマは「パッション」(情熱)。監督は「下級生が多い中、主将を中心に自分たちで話して、よくやってくれた」と選手たちをたたえた。

 東海大の木村季由監督に「やらなければいけないことをできなかった。我々にも原因はあるが、相手が上回ったということ。東洋さんは勢いだけではない」と言わせるほど、試合内容は充実していた。

 2部2位から入れ替え戦を勝ち抜き、29季ぶりに昇格したチームが、リーグ戦の絶対王者に土をつけるという「下克上」を遂げた。

 東洋大の1部での勝利は、92年11月15日に5―3で日大を破って以来のこと。

 秋の大学シーズンの開幕週で最も印象に残る試合となった。(野村周平)

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