はやりの「地政学」本を置かない理由 鎌倉の書店主に聞いた
これまでの国際秩序が揺らぐ中で「地政学」という言葉が多く聞かれるようになった。書店でも「地政学」を冠した本が平積みされている。だが、神奈川県鎌倉市の書店「ポルベニールブックストア」の書棚には「地政学」と名の付く本はない。売れ筋のはずなのに、なぜ、置かないのか。書店主の金野典彦さんに聞いた。
神奈川県鎌倉市の大船駅近くで、個人で小さな書店を営んで3年半になります。書棚には、特定の人種、国や国民をさげすむ、いわゆるヘイト本は置いていません。ヘイトは差別。差別は人権侵害ですから、当たり前のことだと思います。
近所には他にも書店がありネット通販もあるので、うちでなくても本は買えます。ではどんな本を置くかというと、基本は好奇心です。
自分の好奇心が刺激されるかを基準に、表紙やタイトルを見て興味を惹(ひ)かれた本の中から、内容、著者のプロフィルや過去の著作、類書などを調べ絞り込んでいきます。日々選書を続けることが、社会のことを学び、自分の考えを鍛える、とても良い「自主トレ」になっています。
「地政学」に関する本は置いていません。国家や国際関係を論じていて、主語が大きい。語られることを個人として引き受けられず、責任を持てないと感じます。
国際情勢についての研究や報…
- 【視点】
「今読むべき本」が「読みたい本」になる錯覚という指摘。普段、データとにらめっこする機会が多いこともあり、身につまされました。 地政学は主語が大きくなる。主語が大きくなると対話が成り立たない。これまた、納得感しかありません。それを証明す