「何が言いたいんだ?」 それでも安蘭けいは駆け落ち花嫁を許す
脂ののった役者は、舞台が見えている。ガルシーア・ロルカの「血の婚礼」で感情の揺れ幅が激しい母親を演じる安蘭けいは、その言動に合点がいっている。謎のラストに対する鮮やかな解釈は、観劇後に読むことをお勧めしたい。
恨みが原動力
――名前のない「母親」という役です。
すごく裕福な生活をしているけれども、旦那も息子も殺されていて、救いようのない悲惨な人生を送ってる。それでも、その不幸な出来事さえも糧にしていく、これからたくましく生きていけるような、強い女性なんだな。台本を何回か読むうちにそういう風に思えてきました。
日本とスペインの国の違いとかあるのかもわかんないですけど、女性がホントにたくましくて、とても面白い。レオナルドは男の中の男みたいな、肉食な感じなんですけど、母親もすごくたくましくて、レオナルドよりも強いんじゃないかな、ぐらいな。
――たくましさを感じるのはセリフですか、行動ですか。
行動、生き方ですかね。翻訳の田尻(陽一)さんが、母親の語尾を男らしく「~だ」「~さ」とさせているんです。そういう風には普段話さないので、セリフはしゃべりにくいけど、力強さがあります。
――母親は息子の花嫁の元彼、レオナルドの一族に激しい怒りを抱いています。夫と息子を殺されたからですが、理由ははっきりしていません。
とにかく恨みまくっているっていう役作りをしています。
――怒りを持ち続けるキャラクターは、難しくありませんか。日本は「水に流す」という共生の思想があります。
そうですか? 私は、傷つけ…