フリーランスのトラブル、新法でどうなる なおも及ばない数々の保護
三浦惇平 橋本拓樹 編集委員・沢路毅彦
労働者に比べて様々な面で保護が弱いフリーランスが安心して働けるようにするための法案が、今秋にも国会に提出される。不利な契約の是正のほか、ハラスメント対策や育児・介護との両立に向けた配慮が盛り込まれた。ただ、課題も多く残されている。
フリーランスのグラフィックデザイナー西村淳一さん(48)は5年ほど前、発注元の出版社とトラブルになった。過去につくって書籍に載せたデザインが、改訂版でも無断で加工されて使われていた。その分の報酬はもらっていなかった。
契約と違うと出版社に抗議したが、口約束で書面を交わしていなかった。主張の隔たりは埋まらず、訴訟に発展した。「契約書を交わさないのが当たり前だった。信頼関係があると思っていた」と振り返る。
フリーランスを含む働き方の多様化が進むなか、こうしたトラブルは後をたたない。政府が2020年に委託して始めた「フリーランス・トラブル110番」には月300件以上の相談が寄せられてきた。内容は「報酬の支払いについて」が最も多く、「契約内容について」が次ぐという。
そこで新法では、まずは取引…
- 【視点】
独立する個人に対しては、保護よりも敬意が大切なんじゃないだろうか。