熊本の老舗、女性従業員の「脱制服」に動く 「伝統は接客で表現」

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堀越理菜
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 熊本の老舗企業で、女性従業員の「脱制服」を進める動きが出ている。ジェンダー平等の観点などからの取り組みで、鶴屋百貨店熊本市中央区)では、9月から段階的に廃止。肥後銀行(同)でも、5日から試験運用を始めている。

 鶴屋百貨店では、1952年の創業時から女性従業員には制服があり、これまで十数回、デザインを変更してきた。制服を着用していたのは500人前後で、2種類のスカートタイプと、管理職用のパンツスーツタイプがある。今後は2024年春をめどに、案内係以外の制服を廃止し、私服のスーツ着用を進めていくという。

 人事部の山田文美子部長(53)によると、「これまで、スカートよりパンツがよいという人も多くいた」という。制服の方が楽だといった意見もあったが、1年ほどをかけて社内でヒアリングや議論を重ね、廃止を決めた。山田部長は「働きやすさ、動きやすさを重視した。着替えにかかる時間的な負担も減り、子育て中の人にとってもより働きやすくなる」と話す。ジェンダー平等からの取り組みでもあるという。

 制服からの切り替えを始めて、客からは「制服がなくなりさみしい」という声の一方で、「時代に応じた変化に柔軟に対応していて百貨店らしい」といった賛同の声も寄せられているという。山田部長は「伝統は、今まで以上の接客や振る舞いで十分表現できる」と、力を込めた。

 ファッション雑貨部で働く清田あゆさん(24)は2日にさっそく、新調したパンツスーツ姿で出勤した。これまでは、ものを動かす作業などで動きにくさを感じていたといい、「廃止はうれしかった。最初の出費はあるが、好きなものを着られる自由度が高まった。自分のフロアの商品を仕事中のファッションに取り入れ、季節に合った見せ方もしていきたい」と話した。

 1925年創業の肥後銀行で…

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