荻野由佳さん「人生、終わった」 3年続くネット中傷に今できること

有料記事

小松隆次郎
[PR]

 殺す殺す殺す――。

 新潟を拠点とするアイドルグループ「NGT48」の中心メンバーとして活躍していた荻野由佳さん(23)を名指しするファクスが2019年、新潟市内の報道機関や行政機関に送られた。

 荻野さんはアイドルになる夢をかなえ、AKB48グループの名物イベントだった「総選挙」で17年に5位、18年に4位と躍進。2年連続でNHK紅白歌合戦日本レコード大賞といった大舞台を踏み、アイドル人生は順風満帆だった。

 暗い影が差したのは、18年12月。同じグループのメンバーの自宅にファンの男らが押しかけ、暴行容疑で逮捕される事件が起きた。

 事件が明るみに出た翌月、荻野さんとその男らに私的な交流があったのではないか、といううわさがネット上に広がった。

 「夜中に何げなくスマホを見たら『荻野が黒幕』と、えげつないほど書き込まれていた」

 荻野さんはそう振り返る。

  「事件は荻野による自作自演だ」。ファクスによる脅迫事件で容疑者が逮捕された後も、「殺してやる」などと攻撃は続きます。荻野さんが被害の実態と苦悩を明かしました。

 うわさのもとの一つとされたのは、事件前にSNSに投稿していた写真だ。

 「事件に関与した」と、これ…

この記事は有料記事です。残り1197文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【10/18まで】有料記事読み放題のスタンダードコースが今なら2カ月間無料!
  • commentatorHeader
    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2022年9月27日11時50分 投稿
    【視点】

    2020年に女子プロレスラーの木村花さんがオンラインでの誹謗中傷を苦にされ自死されて以降、日本でもオンライン・ハラスメントという言葉が広く知られるようになりました。2020年にプラン・インターナショナルが31カ国で1万4000人以上の15歳から25歳までの女性を対象に行ったオンライン・ハラスメントに関する調査では、回答者の58%が被害を受け、24%が身体的不安を持ち、42%は自尊心または自信を失い、42%は精神的または感情的にストレスを感じていることが報告されています。「若くて女性である」というだけでオンライン上の攻撃対象にされ、政治的に積極的に発言していたり、障害があったり、黒人であるかLGBTIQ+であると認識されると、状況はさらに悪化することもデータは明らかにしています。 荻野さんはオンライン上での誹謗中傷の事実が晒されただけではなく、心理的恐怖はもちろん、仕事にも影響しました。しかし誹謗中傷を行った人は、匿名で制約を受けないままでいます。ハラスメントが発生したときにより強力で効果的でアクセス可能な報告メカニズムの構築や罰則の強化は進んでいますが、匿名を武器により弱い立場(と加害者がみなす若い女性)への攻撃はやみません。 オンライン空間は、情報収集や勉強する機会、自由に自己表現する機会や活動に参加する場をすべての人に提供する、新たな公共空間です。プランのレポートでは「「オンライン・ハラスメントはエスカレートしており、やめさせることも、対処も難しい状況です。実際の生活よりオンラインの世界の影響は大きく、精神的にも感情的にも追いつめられるので、本当に憂鬱です」という21歳のミャンマー人女性のコメントを掲載していますが、オンライン・ハラスメントを経験したすべての人に当てはまる言葉ではないでしょうか。プランの調査では「とても頻繁にハラスメントを受けている」と回答した女性は19%、そのうち12%がSNSをやめました。リスクを回避することで新たな公共空間で活動する機会が奪われるのではなく、デジタルツールを用いて責任ある市民として社会に参加するための知識や能力を身につけられるか、そのためのデジタル・シチズンシップ教育の充実が今後求められています。

  • commentatorHeader
    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2022年9月24日5時20分 投稿
    【視点】

    人間は強烈に残酷な一面を持つ動物です。 だからこそ社会は、それが過剰に走り出さないような装置をいくつも兼ね備えます。 例えば今でも田舎に行くと、家の鍵を閉めないどころか車の鍵をつけっぱなしでも大丈夫のような地域もあります。しかし