23日開業、西九州新幹線 「並行在来線」に年間9億円超の税金投入

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加藤裕則
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 佐賀県の武雄温泉駅と長崎県の長崎駅を結ぶ西九州新幹線が23日に開業する。地元の自治体や企業は観光客の増加などを期待するが課題も多い。なかでも「並行在来線」の維持は難しい問題だ。長崎県や佐賀県は税金を投入するが負担がふくらむ可能性もあり、将来は見通せない。

 新幹線ができると並行する在来線は、原則としてJRの経営から分離される。国土交通省の方針で、沿線自治体がつくる第三セクターが施設を所有して運行するのが一般的だ。東北や北陸など整備新幹線の8路線で実施されている。青い森鉄道(青森市)は青森県が施設を所有し、第三セクターが運行を担う。

 西九州新幹線ではJR長崎線の肥前山口(佐賀県江北町)―諫早(長崎県諫早市)の約60キロが焦点となった。JR九州はこの区間の経営分離を求めたが地元の自治体が猛反発した。そのため、長崎県と佐賀県が施設を所有しJR九州が運行を続ける「上下分離方式」にすることで、2016年3月に関係者が合意した。

 維持・管理にかかる費用は08年に年間2億3千万円を見込んでいた。ところが精査したところ、9億2千万円までふくらむことになった。実務を委託するJR九州に年6億6千万円、センターの経費1億6千万円、設備投資に1億円かかるという。費用は長崎県と佐賀県が2対1の割合で払う。災害が起きたときの復旧費は両県で折半する予定だ。

 両県は21年春に共同で管理…

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