第4回弔問外交 具体的成果「ほぼ期待できない」 延期が最善策と元外交官

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聞き手・高島曜介
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 安倍晋三元首相の国葬が近づいています。岸田政権は参列する要人との「弔問外交」を通じ、各国との関係を強めるとの考えを示していますが、成果は期待できるのでしょうか。元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹さんに聞きました。(聞き手・高島曜介)

インタビューシリーズ「国葬を考える」

安倍晋三元首相の国葬をめぐり、世論の賛否が割れています。首相経験者としては1967年の吉田茂氏以来戦後2例目となる今回の国葬をどう考えたらいいのでしょうか。様々な角度から有識者らに聞きました。

 ――「弔問外交」は、国家元首などの葬儀に参列した各国要人らの間で行われる外交を意味するとされています。海外ではどのように認識されているのでしょうか。

 「弔問外交」という呼び名や共通の定義があるわけではないと思いますが、元首らの葬儀では、参列した各国の元首ら代表が一堂に会する場や、葬儀を行う国と参列した国の要人同士、あるいは参列した各国の要人同士が会談の場を持つことが想定されます。

 ――今回の安倍元首相の国葬では、弔問外交によってどのような成果が期待できるのでしょうか。

外交には緻密な準備が必須

 「外交」の意味にもよりますが、ほぼ期待できません。直接あいさつをし、握手を交わすことが「外交」であるなら、一定の成果はあるでしょう。しかし、具体的な外交の成果としては、ほぼ皆無だと思います。なぜなら、外交で成果を上げるためには、どのような条件、表現で合意形成をするのかという、緻密(ちみつ)な準備が必須だからです。一方で、葬儀というのは基本的に不測の事態です。さらに、葬儀に参列する国は、どのような弔意を表明するのかについて準備をしますが、葬儀をきっかけに外交上の成果を上げようと準備をしているととらえられれば、それは儀礼を欠いているとして非難の対象になりかねません。

 ――海外も含めて、弔問外交で成果があった事例はないのでしょうか。

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 1980年5月の旧ユーゴス…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2022年9月20日12時20分 投稿
    【視点】

    国葬の理由に「安倍外交のレガシーの継承」をあげ、各国首脳が集う場での「弔問外交」に拘ってきた岸田首相には、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げて歴代最多の国を訪問し、各国首脳と個人的な関係を築いた安倍元首相のようになりたいという願望が感じられる。

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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2022年9月20日11時25分 投稿
    【視点】

    生前に対立した意見を持ち議論を闘わせた政治家からも、同じ時代に生きて政治に向き合った存在として死を悼み弔意を表したいが、「国葬」という岸田政権の判断によって難しくなったという声を聞きます。「国葬」という判断によって、凶弾に倒れた安倍元総理の

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