第5回大臣室の引き出しに数珠、覚悟決めて署名した 谷垣元法相が語る死刑

有料記事

聞き手・阿部峻介
[PR]

 死刑の執行を2日前に告知され、実際に執行されるまでの死刑囚の肉声が録音されたテープ。死刑にかかわった経験がある識者に聞いてもらい、感想や考えを語ってもらった。

元法相 谷垣禎一さん

 このようなテープは、見たことも聞いたこともなかった。お茶会があったり、宗教関係のお話があったり。執行の2日前にはお姉さんがお見えになった。死刑囚の心情に配慮しているのがうかがえる。今のやり方と違うかもしれないが、昭和30年代までの経験の蓄積を表していると思う。行刑(刑罰の執行)について一つの実例を示している点で、非常に貴重だ。

 私の(法務大臣)在任中は、当日告知だったと思う。告知を受けた人の気持ちが本当に分かるのか、自信はありません。ただ、あえて言うなら、このテープの死刑囚の場合、極めていろいろな配慮を受け止め、気持ちの安定を図った「かなりよくいった例」だと思う。拘置所の配慮と本人の思いがかみ合っているように思う。ほかにどういう例があったのか分からないので、告知が当日と2日前のどちらがいいかは、正直に申し上げて分からない。

大きなファイル数冊分 一気には読めなかった

 これまでに「(死刑を)執行しない」という法務大臣はいた。

 私はずっと、いかがなものか…

この記事は有料記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(春トクキャンペーン中)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料
  • commentatorHeader
    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2022年9月28日20時31分 投稿
    【視点】

    死刑の是非はさておき、欧米諸国が「世界の流れ」を出してくるときには注意が必要です。 というのも「世界の流れ」を掲げた批判なされるとき、それは大抵の場合、「自分達が良いと思う選択をあなたたちはしていない」という欧米中心主義の言い換えに他