髙田郁さんが車窓に見た物語 小説に込める願いは「そばにいる存在」

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聞き手・大蔦幸
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 大阪の書店員らが、ほんまに読んで欲しい1冊を選ぶ「第10回大阪ほんま本大賞」に、兵庫県宝塚市出身の作家、髙田郁さんの「ふるさと銀河線 軌道春秋」が選ばれた。リストラや病など様々な悩みを抱える登場人物たちがそれでも前へ進もうとする姿を美しい列車の風景と共に紡ぐ九つの短編集だ。10月には続編「駅の名は夜明 軌道春秋Ⅱ」も発売される予定だ。髙田さんに、この作品に込めた思いなどを聞いた。

 ――時代小説が人気の髙田さんの作品としては、珍しい現代小説です。

 作家になる前、ずいぶん長く「川富士立夏」という名で漫画原作の仕事をしていました。その時に漫画家の深沢かすみさんと送り出していたのが「軌道春秋」という作品です。

 一つ一つは短い作品だったのですが、好きだといってくださる方が多くて。小説家に転向した後も、『軌道春秋は小説にしないんですか』というリクエストを多くいただき、小説にという話になりました。

 ちょうど9年前、「銀二貫」で(第1回の)ほんま本大賞を受賞した頃、この小説のゲラに手を入れていたので、不思議な感じです。

「心の中に潜む情景を掘り起こす」と話す髙田郁さん。後半で受賞作への思いや続編にまつわるエピソードを語ります。

町から人が去るせつなさを感じて

 ――表題作の「ふるさと銀河線」は、北海道の大自然と満天の星、今は廃止になった「北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線」の鉄道風景などを重ねながら、夢と現実の間でもがく少女が主人公です。なぜ、陸別町を舞台に?

 子どもの頃ね、天文学者になりたかったんです。

 「軌道春秋」の漫画原作を立ち上げるので、北海道を自分でロケハンしていたんです。知床から網走に向かう列車で座席に挟まれた冊子を読んでいたら、陸別町というところに天文台があって、行ってみようと。

 そこで陸別町の星に魅せられ…

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