島根初の日本語学校「はなまる日本語学校」 校長の思い

北村哲朗
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 この春、日本語を学びたいという留学生たちが、アジア各地から島根県江津市へ次々とやって来て暮らし始めた。現在約40人。10月にはさらに約60人が加わる予定だ。「はなまる日本語学校」はいま、その受け入れ準備に忙しい。

 県内初の日本語学校として昨年春に開校。だがコロナ禍で1年間、留学生を迎えることができなかった。入国制限が今年3月に緩和され、ようやく対面授業をスタートできた。

 学びやは市中心部にある元幼稚園の園舎。改修した建物に3教室あり、タイやインド、ネパールバングラデシュモンゴルからの留学生たちが机を並べる。ロシアの侵攻を受けて避難してきたウクライナの女性も7月に受け入れた。

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 江津市は父親の故郷。なじみのある土地だ。子どものころ、お盆や正月になると上津井(かんづい)温泉(休業中)に帰省し、野山を駆けて遊んだ。10年前にタイで日本語学校を開いてからも、国際交流の一環で教え子たちと訪れ、将来、日本で開校する時は江津市にしようとイメージを膨らませた。

 タイから日本へ、これまでに約400人の教え子を留学生や技能実習生として送り出した。しかし実際には彼らが思い描いたような進学や就職に結びつかないことが多く、出稼ぎ同然で終わってしまうのが現実だった。継続的に教育ができる「受け皿」が日本に必要だと思い続けていた。

 「遊んだりお金を稼いだりは留学の目的じゃない。学ぶことが最優先。ここで日本語をしっかりと身につけて、次のステージにつなげてほしいんです」

 日本の、しかも地方で開校したのは、静かな環境の中で生きた日本語を学べるため、短期集中型の学習ができるからだ。経済的にゆとりのない留学生たちにとって、都会よりも生活費を抑えられることも魅力だ。

 人口約2万3千人の江津市は少子高齢化に悩む。産学官民が連携し、留学生たちが地元に定着する流れをつくれれば、地域活性化にもつながると読む。

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 山に囲まれた上津井温泉に留学生寮の一つがある。近くの畑で、空心菜やパパイアなどを栽培しているのは、自炊をする留学生たちを少しでも支えたいとの思いからだ。「おなかがすいていたら勉強に集中できませんから」。地元の祭りに参加するなど地域交流にも積極的で、「留学生たちが『ここへ来てよかった』と思えるよう、いい循環が生まれれば」と話す。

 「よくできました」という意味の、渦巻き状の花びらマークが学校名の由来。教え子たちには夢をかなえて自分の人生に「はなまる」をつけてほしい。母国と日本との架け橋になってほしい――。日本語教師になって20年、その思いは変わらない。(北村哲朗)

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 やなぎはら・だいさく 山口県周南市生まれ。大阪学院大外国語学部を卒業後、オーストラリアで日本語教師を始め、2年後にタイへ。2012年に「はなまる日本語学校」のタイ校を設立。21年にはインド校と島根校(0855・52・0885)を開校した。「前向きであれば幸せはやってくる(Be Positive & Be Happy)」が信条。