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コロナ禍で「認知症進んだ」3割 介護サービス使えず認知機能低下も

畑山敦子
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 9月21日は、コロナ禍では3度目となる世界アルツハイマーデー。認知症の人の支援にかかわる4団体がアンケートしたところ、当事者の家族や支援者らの約3割が、新型コロナの影響で介護サービスの利用が制限されたことなどにより認知症の症状が悪化したと答えた。本人や家族が体調不良で感染の疑いがある場合に介護サービスを利用できるかどうかは事業所によって異なっており、4団体は、早急な検査や介護の支援を検討するよう、近く厚生労働省に要望する。

 調査したのは「認知症の人と家族の会」など4団体でつくる「認知症関係当事者・支援者連絡会議」。2~4月に、認知症の人を介護する家族、介護職など支援者ら計288人がウェブを通じて答えた。認知症の人が生活している場所は、自宅が112人で最も多く、施設が60人、病院は8人だった。

 新型コロナが広がった影響で認知症の症状に変化があったかどうかという問いに対し、32%が「認知症の程度が進むなどの影響があった」を選んだ。認知症以外で「心身機能の低下」があったとしたのは26%。「変わらない」は18%、「どちらともいえない」は19%だった。

介護サービスの利用頻度「減らした」も3割弱

 介護保険サービスの利用状況を複数回答で聞くと、利用の頻度を「減らした時期がある/今も減らしている」は26%、利用する介護サービスの種類を「変更した(減らした)」は11%いた。

 頻度や種類を減らしたサービスについては、デイサービスが29%、ショートステイは10%だった(複数回答)。

 自由回答では「(検査の結果が)陰性でも、体調不良を理由にサービスが受けられず途方に暮れた」「ショートステイを望むも、微熱が続いたため受け入れを拒否された」など感染していなくてもサービスを利用できなくて困ったという体験が目立った。また、支援者からは、感染対策が法人ごとに異なり、サービスの利用制限が過度だったり緩すぎたりすることに困惑する声も寄せられた。

 認知症の人にとって、なじみの介護サービスが利用できなくなると、生活リズムが乱れ、認知機能の低下にもつながりかねない。一方、慢性的な人手不足の中で高齢者を介護する現場では、感染拡大の防止や人繰りの難しさから、感染者だけでなく利用者や家族に疑いがある場合も利用を制限せざるをえない面もある。

 4団体は寄せられた声をふまえ、認知症の人や家族に感染の疑いがある場合に早急に検査でき、結果が出るまでの間も介護を受けられるような支援の検討や、遠方から来た家族との接触などを理由に、認知症の人の介護サービスの利用を制限することを最小限にする方策、入院・入所時の家族との面会制限に柔軟に対応できるような支援を厚労省に要望する。畑山敦子

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