安倍晋三元首相が亡くなった7月8日以降、関わりのある場所では多くの献花がされてきた。9月27日の国葬会場近くにも一般献花台が設けられ、多数の参列者が訪れると見込まれる。故人を悼み、手向けられる膨大な花々はどのように扱われるのだろう。
7月18日、奈良市の古刹、西大寺。ヒマワリ、ユリ、菊などの色とりどりの花を前に僧侶が祈りを捧げていた。
安倍元首相が銃撃された近鉄大和西大寺駅前の現場には、事件当日に献花台が設けられ、11日間で約10万人が訪れた。この日営まれたのは、その花々の「花供養」法要だった。
土に返した自民・奈良県連「思いを新たな芽に」
その間、献花を管理したのは自民党奈良県連。あふれる献花を、県連所属議員の秘書らスタッフが段ボールに詰め、各事務所や関連のビルなどに運び、冷房を利かせた部屋で保管したという。
事件から10日後、「周辺道路の交通安全のため」という理由で献花台が撤去されることになり、奈良県連では幹部らが、保管している花々をどう扱うか話し合った。自然と出てきた意見が「花供養」だったという。荻田義雄幹事長は、「花々には安倍さんを悼む思いが詰まっている。それを十分に届けるため供養することにした」と振り返る。
花々は法要後、土と混ぜて肥料にしたという。いずれ農地にまかれて土に返る。荻田幹事長は「安倍さんの思いが新たな芽になって育ってほしい、そんな願いをこめました」。
東京・永田町の自民党本部でも7月11~15日に献花台を設置し、期間中、約1万8千人が訪れた。自民党総務局によると、献花は約100人を収容できる会議室など党本部内の複数の会議室に職員が運び込んで飾ったという。その後、「職員が花供養をし、適切に対応した」としている。
安倍元首相の国葬が営まれる…