第10回国葬で人々はつながれるのか 岸田首相に求められる「包摂の言葉」

有料記事国葬

聞き手・真田香菜子
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 安倍晋三元首相の国葬をめぐって世論が割れています。著書『特攻文学論』で特攻隊員の死に向き合い、未来に向けてどのように建設的に受容できるかを探った帝京大学の井上義和教授(歴史社会学)に、国葬の意義について聞きました。

インタビューシリーズ「国葬を考える」

安倍晋三元首相の国葬をめぐり、世論の賛否が割れています。首相経験者としては1967年の吉田茂氏以来戦後2例目となる今回の国葬をどう考えたらいいのでしょうか。様々な角度から有識者らに聞きました。

 ――安倍元首相の国葬をどのように受け止めていますか。

 「チャレンジングだと思いました。内閣が閣議決定で押し切りましたが、根拠や手続きを重視する民主主義国家としては、グレーゾーンの政治判断だったと思います。たしかに選挙期間中に殺害されたことは多くの国民に衝撃を与えました。しかしその後の経緯に対する国民の受け止めは複雑です。保守でも、かつての国葬や首相経験者の葬儀の歴史からの飛躍を感じたり、リベラルでも、あのような亡くなり方をしたばかりなのに『国葬に値するかどうか』を声高に問うことに疑問を感じたり、という人もいるはずです。その意味で、今回の閣議決定は政治的な賭けと言えるでしょう。だとすれば、岸田文雄首相がこの国葬を通じて何を得ようとしているのか、何を賭けるのかが問われます」

 ――国葬を、人々にとって意…

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2022年9月25日7時10分 投稿
    【視点】

    政治家が「祖国の物語」を「包摂の言葉」で紡ぐことの重さに関するご指摘は、一般論としてはごもっともです。近代国家に引きつければ、扱いがたいナショナリズムを国民の代表である政治家がいかに陶冶するかであり、元首相を弔うために現首相があえて国葬とい

連載国葬を考える(全18回)

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