「ごめんな」6歳でがんで旅立った息子 届かなかった父からの贈り物
後藤一也
今から8年前の夏。2996グラムで生まれた息子の蒼(あお)くんと過ごしたいと、鈴木隆行さん(40)は半年間の育休をとった。
「あおー!」
名前を呼ぶと、蒼くんはくるりと振り向き、よく笑ってくれた。
長距離の外出ができるようになった生後6カ月ごろには、家族3人で九州各地を旅行した。
蒼くんはクリッとした目で、生まれて初めて見る景色をじっと見ていた。
ところが旅行から帰ってから数日後。突然、蒼くんの元気がなくなった。
赤ちゃんは毎月体重が増えていくはずなのに、体重も少し減っていた。
おなかを触ると少しハリがある。心配になって近くの病院に行くと、CT検査の画像を見た医師から「すぐに救急車で転院して」と言われた。
「治療が終わったら、家に帰ろうな」
鈴木さんは、すぐに治ると思っていた。
それなのに、東京都内の小児…
- 【解説】
この記事を編集するデスクを担当しました。 日本では毎年、2000人以上の子どもが小児がんを発症しています。 かつては「不治の病」と言われたこともありましたが、医療の進歩により5年生存率は80%ほどになりました。一方で、年間500人ほどが