「ハガミごっつあんです」力士に頼まれたらアゴかます?シカかます?
抜井規泰
「えびすこが強い」「そっぷ」。前回、そういった角界の用語を紹介した。
力士から「ハガミ、ごっつあんです」と言われたら、どうしましょう。相撲隠語の続編です。
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【ヒタチ】
実在の人物の名前が隠語となるケースも多い。
ある日、出羽海一門のある親方が怒気を込めて「あのヒタチが!」と漏らした。語源は常陸潟(ひたちがた)。明治期の力士のしこ名で、ほら吹きとか、自分ばかり目立とうとする人を指す。常陸潟本人も、まさか1世紀後に自分の名前が相撲隠語で残るとは、思ってもいなかったろう。
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【ハーちゃん】
「こいつはハーちゃんですが、よろしくお願いします」なんて言葉は、先輩が関係先に後輩を紹介する際に便利かもしれない。ある親方に、「愛嬌(あいきょう)があるが、まだ半人前」と言われる娘がいた。名前が「春子」。その後、「ミーちゃん」と併記され、「ミーちゃんハーちゃん」から「ミーハー」が生まれたという説もある。
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【貧乏神】【家賃が高い】【おっつける】【胸を出す】【オコメ】
親方衆から聞いた隠語を並べ…