少数民族の言葉、守りたい 口伝えの昔話動画 ミャンマーで好反応

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上野創
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 ミャンマー北部の少数民族「カチン」の言語をフィールドワークで研究するかたわら、口伝えの民話を記録し、紙芝居にして動画サイトやSNSで公開――。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)の倉部慶太准教授(35)の取り組みだ。「受け継いできた文化が失われつつある」という現地の危機感を受けとめ、ミャンマーの若者たちと協働で続けている。

 「夜になると、トラに変身する女性と結婚した夫が、それを知って……」「湖の水を空っぽにした者に褒美を与えると聞いた3人組がとった行動は……」

 無料動画サイトYouTubeの「Kachin folktales」(カチンの民話)のチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCyRWVcLO4YZlEO_9SWyPPYQ別ウインドウで開きます)では、そんな民話や昔話の数々を無料で見られる。地元の「ジンポー語」の朗読と、主に現地のイラストレーターが描いた素朴で味わいのある絵が付き、ミャンマーの公用語のビルマ語や日本語、英語、中国語の字幕を選べる。

 「長い間、カチンは無文字社会で、豊かな口承(口伝え)文化が発達し、語り継がれてきました。しかし急速な社会の変化で、伝統的な口承を知らない世代の増加と無関心が問題になっています。多くの伝統的な物語が十分に記録されることなく、消滅の危機に直面しています」と倉部さんは話す。

 かつては農閑期に村の子どもたちが食べ物を持ち寄り、囲炉裏を囲んで古老の語りに耳を傾けて無数の民話、神話、叙事詩、民謡、ことわざなどが語り継がれてきた。

 教訓的な内容が多く、日本の「こぶとりじいさん」「うば捨て山」とよく似た昔話もある。また人間がどこからどう生まれ、今につながっているのかという壮大な物語もある。熟練の語り部が特別な催事で、叙事詩を三日三晩かけて話したという記録もある。

 だが、カチンの言葉を使わないテレビやネットの普及によって物語を話せる人が減り、お年寄りの語りに対する関心も薄くなって口承文化は途絶えつつあるという。三日三晩かけて語る叙事詩を語れる人も、今ではほぼ見つからない。

「絵をつけてアップしては?」 予想外の提案

 倉部さんが現地で言語の調査を始めたのは2009年。カチンの集落は主に山間地に点在し、互いに通じない言語が10以上あるなど非常に多様だが、消滅が心配されるものもある。倉部さんはカチンの共通語として通用するジンポー語の単語を一つずつ集め、文法と発音を把握して論文を発表、辞典も作った。

 現地は地域によって政情が不…

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