スポーツ好奇心
「投手・能見」にはきっぱりと区切りをつけたという顔だった。
16日にあったオリックスの能見篤史投手兼任コーチ(43)の引退会見。「本当に悔いなくというか、18年という長い現役生活でしたけど、やりきった」。自分が納得できるまで投げ抜いたという実感がこもっていた。
決断の理由を問われると、こう語った。
「自分が投げるよりもいろいろ選手を見させてもらい、試合の中で成長していく姿が非常にうれしかった。その時点で選手としての自分の気持ちは薄れていた」
阪神で16年間プレーした後、2020年オフにオリックスに移籍。新天地では「兼任コーチ」の肩書がついた。投手陣と同じ練習をこなしながら、選手と同じ目線でアドバイスを送ってきた。
加入前まで2年連続最下位だったチームが、昨季は25年ぶりのパ・リーグ制覇。今季も連覇の可能性がある。「僕は特別なことはしていない。選手たちの実力が発揮できるようになってきたので、たまたま僕が寄り添う形でそこにいた」
少し口調が変わったのは、会見後の囲み取材に入ってからだった。
これまでは、コーチとして期待する選手を聞かれても、特定の名前を挙げるのを避けてきた。
「言っていいのかな」と考え…