戦時下の強制労働を伝える「笹の墓標展示館」巡回展 大阪で始まる

大滝哲彰
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 戦前・戦中の強制労働の現場で起きた悲劇を伝えてきた北海道幌加内(ほろかない)町の「笹(ささ)の墓標展示館」の巡回展が21日、浄土真宗本願寺派津村別院(大阪市中央区本町4丁目)で始まった。25日まで。展示館は2020年1月に雪の重みで倒壊し、日本各地で巡回展を開いて支援を募っている。

 展示館を運営するNPO法人「東アジア市民ネットワーク」によると、幌加内町の朱鞠内(しゅまりない)地区では鉄道やダムの工事に朝鮮半島出身者を含む労働者が動員され、過酷な労働を強いられた。調査では約250人の死者が確認され、うち約50人は朝鮮半島出身者だったという。

 展示館は、多くの労働者の位牌(いはい)が納められていた地元の寺が廃寺となった後、本堂を使って1995年に市民らによって開設。共同墓地から発掘された遺骨を安置し、遺品などを展示してきた。

 だが、長年の積雪で柱がゆがみ、2020年1月に倒壊。21年12月には、宿泊研修施設として使っていた寺の庫裏も火災で全焼した。位牌や遺品などは無事だったという。

 NPO法人は6千万円を目標に再建資金を集めると同時に、行き場を失った位牌や展示品を全国各地で展示し、戦時下の強制労働の悲惨さを伝えてきた。

 大阪の巡回展では位牌や空の骨箱とともに、発掘された副葬品や写真パネルなどを展示。大阪朝鮮中高級学校の美術部が今回の巡回展に合わせて描いた作品も展示する。展示館再建に向けた募金箱も置いている。

 NPO法人事務局の金(キン)英鉉(ヨンヒョン)さんは「過去の歴史と向き合い、背負いながら東アジアの未来を考えてもらう場になれば」。巡回展関西実行委員長の姜(カン)守幸(スヘン)さんは「犠牲者一人ひとりが固有名詞を持つ個人だったということを感じてほしい」と話す。

 寄付などの問い合わせは実行委事務局(0164・27・2359)へ。(大滝哲彰)