ウクライナ東部・南部の親ロシア派勢力が20日、「ロシアへの編入」を問う住民投票を実施すると発表し、その翌日には、プーチン大統領が予備兵の市民を招集し、ウクライナ侵攻に動員することを明らかにしました。相次ぐ唐突な動きには、どのような狙いがあるのでしょうか。今後の戦況への影響は――。東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠・専任講師(ロシアの軍事・安全保障)に聞きました。

 ――ロシア側が今、住民投票を行う狙いは何ですか。

 ウクライナ北東部や南部でウクライナ軍の反転攻勢が続く中で、態勢を立て直すために予備役の市民を動員する口実にしたいのでしょう。併合すれば、「ロシア領」にウクライナ軍が攻め込んできたということになります。ナショナリズムをくすぐり、「大変なときだから」ということで、動員に対する国民の理解を得ようとしているのではないでしょうか。

 ウクライナ軍の進撃を止め、牽制(けんせい)したいという思惑もあるかもしれません。ただ、ウクライナ軍がこれまで、ロシアに併合された南部クリミア半島を攻撃していることを考えれば、仮に東部を併合しても、ウクライナ軍は手加減しないのではないかと思います。

 ――ロシア側が苦戦を強いられる中で、支配下に置いた地域を自国の領土だと確定させて、戦果を急ぎたいという思惑はありますか。

 そもそもロシアは、ウクライナ領の併合自体への関心は、あまりないのではないでしょうか。クリミア半島はロシアにとって「栄光の地」なので、併合によって国を盛り上げる意味があります。ただ、東部のドンバス地方にはそこまでのインパクトはなく、(親ロシア派が自ら名乗る)「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」が独立国家となっても、併合しませんでした。やはり、動員の口実という狙いが大きいでしょう。

ロシア軍、後方はスカスカ

 ――市民を兵士としてウクライナ侵攻に動員すれば、ロシア国内の世論にも影響しそうです。

 出るでしょうね。ふわっと国民…

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