第18回僕はのび太に救われた 恐竜学者が化石に込めた日本への思い

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聞き手・林望
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 自分が発見した恐竜の化石に、「ドラえもん」の「のび太」にちなんだ学名をつけた中国の学者がいます。中国地質大学(北京)の邢立達准教授。幼いころ勉強やスポーツが苦手で、のび太に強いシンパシーを感じていたといいます。1980年代に生まれ、日本のマンガやアニメなどを見て育った「80後」(パーリンホウ)の日本観は、教育の押しつけだけでは説明できない世界のようです。

邢立達さん

シン・リーター 1982年広東省生まれ。高校時代に中国初の恐竜専門サイトを立ち上げ話題に。大学では金融を学んだが、卒業後に古生物学の研究者に転身。子ども向けの入門書や講演活動にも力を入れ、SNSのフォロワーは600万人を超える。

 ――邢さんが2021年、四川省で発見した肉食恐竜の足跡化石に「エウブロンテス・ノビタイ」という学名をつけたニュースは、日本でも話題になりました。

 化石に名前をつけるのは、自分の子どもに名をつけるのと同じでなかなか大変なんです。意味のあるものにするのはもちろん、関係者に納得してもらわなければなりませんから。

 伝統的には発見場所にちなんだ名前にすることが多いのですが、地名はすでに使われているケースがよくある。そこで、学者自身が好きなもの、あるは尊敬する人の名前をつけることがあるのです。

 化石を発見したちょうどそのころ、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」が中国でも上映されたのです。この作品が素晴らしかったのは、最新の研究成果が反映され、恐竜には毛が生えていて、飛べるものも、すごく小さいものもいたということがしっかり描かれていたことです。

 ハリウッド映画の「ジュラシック・パーク」と同じように、いや子どもが怖がらずに見られるという意味では、それ以上に恐竜や科学への興味をかき立てる偉大な映画だと思いました。

 「ジュラシック・パーク」にちなんだ名前の化石はすでにありましたから、のび太の名前をつけられない理由はないと思ったのです。

なぜ「のび太」に

 ――「ドラえもん」の登場人物のなかでも、なぜのび太を選んだのですか?

 私は幼いころ、のび太によく…

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