女装や男装など、衣服によって性の境界を越える営みに着目した「装いの力―異性装の日本史」展が、10月末まで東京都の渋谷区立松濤美術館で開かれている。企画展はSNSで話題となり、若い人たちも多く会場へ足を運んでいる。
「異性装の展示が公立美術館で開催できるとは思いもしなかった。こういう日に巡り合え、生きていて良かった」。企画展の記念講演に登壇した性社会文化史研究者で明治大非常勤講師の三橋順子さんは感慨深げに語った。
トランスジェンダーの当事者として長年、異性装の変遷も研究の対象としてきた。講演では、明治期に撮影された日本最初とされる女装写真から、性別の枠に当てはまらない「ノンバイナリー」の存在まで、女装と男装の近現代史を読み解いた。
企画展は、日本最古の例として、ヤマトタケルが女装して敵の隙を突いたというエピソードがある「古事記」から、ドラァグクイーンに関するインスタレーションまで、異性装にまつわる古代~現代の絵画や衣装、写真、映像、漫画などを展示している。
「こうした性に関わるテーマ…
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