ウクライナ情勢が大きく展開するなか、3年ぶりに本格的な対面形式で開かれた国連総会の一般討論演説は、ロシアの侵攻をめぐって関係国の首脳が言論で争う舞台となった。21日夕、ニューヨークの国連本部で流された録画演説で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、国際規範を犯すロシアとプーチン大統領の不法性を際立たせた。
「ウクライナも、欧州も、世界も、平和がほしい。戦争をしたがっている唯一の人物は誰か。私たちは知っている」。ゼレンスキー氏は英語での演説で「唯一」を強調し、ロシアの孤立を改めて国際社会に印象づけようとした。
「私たちの領土を盗もうとし、多くの人を殺害した。人々を拷問し、屈辱を与えた。違法な戦争を引き起こし、ウクライナだけでなく全世界に破滅的な混乱をもたらした。処罰を要求する」
ゼレンスキー氏は平和に至る5条件として、①侵略行為への処罰②人命の保護③安全と領土保全の回復④安全の保障⑤自国防衛への決意――を挙げた。この実現なしに和解や解決はあり得ないと訴えた上で、逆に実行すれば、事実上の国連改革につながると述べた。
ロシアが、ウクライナ国内の支配地域の編入をもくろんで「住民投票」を計画していることについては、バイデン米大統領が同じ日の演説で使った表現を踏襲して「偽物」と非難。ロシアが予備兵の招集を決めたことにも言及した。
「ロシアは戦争をしたがっている。だが、歴史の流れは止められない。人類と国際法はテロリスト国家より強い。ロシアは自ら始めた戦争の終結に追い込まれるだろう」
対面形式での参加が原則となった今回の国連総会で、ゼレンスキー氏には異例の録画演説が認められた。演説の最後、事前収録に賛成した101カ国に謝意を伝える一方、反対したベラルーシ、キューバ、北朝鮮、エリトリア、ニカラグア、ロシア、シリアの7カ国を名指しで批判した。
「録画演説を恐れた国。たった7カ国。101。そして7だ」
録画演説が終わると、議場で…

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