ウェディングドレスを御嶽山頂に 噴火8年、恋人と天国にいる娘へ

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大野晴香
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 料理上手で、おしゃべり好き。いつも笑顔をふりまいてくれた娘は、恋人と一緒に山に登った。あれから8年。母親は2人が生きていれば結婚式で着ただろうウェディングドレスとタキシードを縫いながら、山頂へ持って行ける日を待っている。

 愛知県一宮市の丹羽真由美さん(58)は、2014年9月27日の御嶽山(長野・岐阜県境)の噴火で、長女の由紀さん(当時24)を失った。

 幼いころから一緒に台所に立ち、料理や家事を手伝ってくれた。中学生になると、真由美さんが苦手なシフォンケーキも、上手に焼けるようになった。親族の誕生日や集まりにはケーキや一品を持って行った。

 大人になってもいろんな話をした。「会社にいい人いないの?」。そんな話題のたびに「あの人は対象外」という男性がいた。2歳年上の同僚、所祐樹さんのことだった。でも、所さんのほうから声をかけ、交際が始まったようだった。

 14年1月、初めてのデートは名古屋港水族館だった。次は三重県桑名市の「なばなの里」。3月には京都……。毎週のように2人で出かけた。帰ってくると、切符の控えや旅先のパンフレットを箱にしまい、大切に保管していた。夕食の支度をしながら、祐樹さんとのできごとを楽しそうに話す娘は、どんどんきれいになっていった。

 あの日は、早朝に家を出た。真由美さんは「気をつけて。眠くなったら運転休むんだよ」と声をかけた。昼過ぎに親族からの電話で、噴火を知った。

 数日後、包帯を巻かれ、冷たくなった由紀さんと対面した。

 山頂付近で、祐樹さんと並び…

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