「残虐行為は法の裁きから逃れられない」 実例を示した意義大きい
カンボジアの旧ポル・ポト政権(1975~79年)による自国民虐殺を裁く特別法廷は22日、訴追された被告のうちただ一人、存命しているキュー・サムファン元国家幹部会議長(91)に、同法廷の最後となる判決を言い渡した。ポル・ポト政権の崩壊から43年、特別法廷が設置されてから16年。170万人もの国民が犠牲になったとされる犯罪の責任を追及した特別法廷の役割や意義について、2006年から12年まで同法廷の控訴審国連判事を務めた野口元郎弁護士に聞いた。
――特別法廷の設立時から6年間、判事を務められました。特別法廷の意義、役割についてどう考えていますか?
カンボジア政府が国際法廷の設置を求めたのは1997年ごろですから、設置の交渉開始から四半世紀かかってやっと最後の判決にこぎ着けました。時間がかかりすぎる、お金がかかりすぎる、起訴した人数が少なすぎるという批判もありました。いろいろなとらえ方があるかと思いますが、20世紀最大の負の遺産の一つといわれたクメール・ルージュ(ポル・ポト派)による残虐行為はカンボジア国内でタブー視され、国民の目から隠されて闇に葬られようとしていたわけで、それを明るみに出し、証拠に基づいた事実認定を行って、法の裁きによる正義をもたらしたことは、非常に大きな意味があると思います。
いまのウクライナ問題などの…
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