第2回成長の主役たちが老いてゆく 若者そっぽ、世界の工場に迫る時間切れ
北京=西山明宏
中国の首都である北京市には故宮を中心に円を囲むように環状線が走る。
市西部。中心から3本目の環状線と幹線道路が交差する陸橋「六里橋」は、周囲には道路や住宅以外にほぼ何もない。
多くの車が通り過ぎていくばかりの場所に、平日の昼間から40人ほどが座り込んでいた。
集まっていたのは、農村出身で都市部に出稼ぎに出て働く「農民工」と呼ばれる人々だ。
ここは農民工が仕事を探す場所の一つで、工場や建設現場などの日雇いの人手を集める車が訪れる。ほとんどが中高年の男性で、若者とみられる人はいなかった。
連載「中国新世 人口減が始まる」
この連載では、中国の少子高齢化を取り上げます。豊富な労働力を背景に「世界の工場」と呼ばれ、爆発的な経済発展を遂げた中国。その経済成長を支えた「立役者」だった農民工の世界に、大きな変化が起きています。
老いとコロナで仕事ない
山東省出身の男性(51)が陸橋の下の壁にもたれかかりながら、うつむいて座っていた。普段は建設現場で働くが、「コロナで仕事はかなり減った」。
10年ほど出稼ぎで北京に来…
- 【視点】
「新世代農民工」は足で企業に投票する―。中国で労働問題を研究する常凱先生が話していました。もともと身分も不安定なので、高い賃金や良い条件があれば、さっさと移る。近頃の若者は辛抱するとかしないとかではなく、人手不足になれば当然の事だ、と指摘。