夜の水族館、小学生以下お断り 大人の「ソロ活」需要で静かな人気
小学生以下の入場はお断り、私語も厳禁――。夜のペンギンや魚たちを1人で観賞する仙台うみの杜(もり)水族館(仙台市宮城野区)のイベントが静かな人気を集めている。いったんはボツになりかけた企画だったが、気兼ねなくひとり時間を楽しむ大人の「ソロ活」需要に応えている。
不定期で開く「おひとりさまナイト水族館」。通常だと閉館後にあたる午後6~9時に公開する。同館はあえて「知人と来館しても別行動すべし」「私語は控えるべし」「生き物との対話に集中するべし」と呼びかける。
2015年のオープン当初に副館長だった和田淳太さん(51)=現・新潟県上越市立水族博物館長=が、かつて勤務していた横浜・八景島シーパラダイス(横浜市)との客層の違いに気付いたのがきっかけだ。
お出かけスポットの色合いが濃いシーパラダイスには家族やカップルが多かったが、うみの杜は住宅街やショッピングモールが近く、仕事や買い物帰りの一人客も多い。年間パスポートで毎日訪れ、職員以上に魚を観察している人もいた。
「カップルや『リア充』に囲まれる中、1人で魚を見るのが寂しい」というSNSの投稿も見かけていて、水族館に「おひとりさま」の需要はあると思っていた。
満を持して提案したものの、周囲の反応は「水族館は家族やカップルで楽しむもの」「一人客が本当に集まるの?」とさんざんだった。
企画がボツになりかけたため、同館がSNSでアンケートをすると「ぜひ行ってみたい」と好意的な意見が9割近くを占めた。試しに始めた18年には約100人が参加。回を重ねるごとに参加者が増え、今年4月には200人近くになった。いまや目玉イベントの一つだ。
広報担当の小畑成美さん(30)は「『水族館や生き物は好きだけど、1人ではちょっと……』という人が思っていた以上に多かった」。特別な準備や費用がかからないのも強みだ。
10日夜にあった11回目の…