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低気圧で片頭痛、「気象病」の対処法を医師が解説 受診の目安は?

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 梅雨や台風などの時期、気圧や湿度の変化が原因とみられる片頭痛に悩まされる人も多いのではないでしょうか。どのように対処すればいいのか、医師で、頭痛に詳しい「東京頭痛クリニック」の丹羽潔さんに聞きました。

 ――頭痛の患者さんが多いのはいつですか。

 東京頭痛クリニックは、頭痛に特化して診療しています。梅雨入りの6月ごろから、台風が多く発生する9~10月ごろ、頭痛を訴える患者さんの数がピークを迎えます。多くが女性で、片頭痛を訴えられます。

 片頭痛自体、女性の患者さんが多いのが特徴です。月経周期に伴う女性ホルモンの変動が影響していると言われています。ストレス、寝不足のほか、光や騒音、強いにおいなども誘因になりえます。

 一般的な症状は、片側のこめかみから目のあたりのズキンズキンとした痛みです。お酒を飲んだ後、階段を走ってのぼった時の頭の痛みに似ています。

 痛みは長い人では72時間続くこともあり、吐き気をもよおす人や寝込む人も。見た目には分かりづらいですが、非常につらい疾患です。

 私自身、片頭痛に悩まされてきました。頭痛で悩む方の気持ちはよく分かります。

低気圧や湿度が関係

 ――梅雨や台風の時期に片頭痛の患者さんが多いと。どんな関係が?

 低気圧が原因の一つです。脳の一部が気圧の変化を察知すると、交感神経が活発になります。体の反応が敏感になり、痛みを感じる神経が刺激されやすくなります。

 また、低気圧では、空気中の酸素濃度が低下して血液中の酸素が薄くなってしまうため、血管を膨らませて酸素を行き渡らせようとします。こうした血管の膨張も神経を刺激して痛みを感じさせることもあります。

 低気圧は要因としてよく知られるようになりましたが、もう一つ大きな要素があります。梅雨の特徴である高い湿度です。

 ――湿度がどう関係するのでしょうか?

 湿度が高いと、汗が蒸発しづらくなります。熱を放出できないため、体内に熱がこもってしまい、まさにサウナにいるような状態になります。そうして血管が膨れます。血管の膨張によって、管のまわりに張り巡らされた痛みを感じる神経を刺激し、痛みを感じさせるのです。

 これまで、湿度よりも低気圧の方が片頭痛に悪影響を及ぼすとされていましたが、海外の研究によると、高湿度の方が片頭痛を悪化させるようです。

 このように気圧や湿度の変化が原因となる疾患を総称して「気象病」と呼ぶこともあります。

生活リズム整えて

 ――何か対処法はありますか。

 大きな要因である湿度については、除湿器やエアコンを使うことで対処できます。湿度が上がるほど悪影響を及ぼすとされています。梅雨時の湿度は75%を超えます。おおよその目安として、60%程度まで下げることを勧めています。

 血管が膨らむことで神経を刺激していますので、体の水分を外に出し膨張を防ぐことも方法の一つです。利尿作用のある豆類やウリ類などの摂取を勧めています。

 スイカもお勧めです。多くの水分を含んでいますし、血管の老化を抑える成分も入っています。血管が老化して弾力性を失うと、痛みの神経を刺激するリスクも出てきます。

 昼夜が逆転するなど、生活のリズムの乱れは、自律神経のトラブルを引き起こすおそれがあり、禁物です。自律神経が乱れ、交感神経が活発になりすぎて頭痛の原因となることがあります。規則正しい生活を続けることも大切なのです。

 ほかには、「強い光や人混みを避ける」「ストレスをためない」「体調の悪い時の飲酒を避ける」といった対処法があります。どれも片頭痛を引き起こすおそれがあるものを避けるねらいがあります。

薬の飲み過ぎに注意

 ――受診の目安は?

 むやみな受診は勧めません。市販薬で効果があれば様子をみてもよいと思います。

 ただ、薬を飲み続けている場合は、注意が必要です。恒常的に市販薬を飲み続けると、薬物「乱用」によって、頭痛の原因になることもあるためです。

 また、薬を飲み続けると、「痛い」と指令を出す「脳内の番人」の働きが正常でなくなります。通常では指令がでないような痛みも知らされるため、「痛い」と感じることが増えます。こうして痛みが慢性化します。

 私は患者さんに、よくこう聞きます。「月に何日、痛み止めを服用しますか?」と。月に6日以上、市販の痛み止めを服用しているような場合は、薬の乱用による頭痛や慢性化がないかと考えます。

 弱い薬を長期間飲み続けるより、効果の高い痛み止めを短期間飲んだ方がいいこともあります。片頭痛がひどく、日常生活に支障が出ている場合などは、予防的に薬を出すこともあります。痛み止めを飲み続けないと症状が治まらないような場合は、受診してアドバイスを聞くことを検討してみてください。