知らない単語と「相思相愛」に? マライさんの「謎」の日本語学習法

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聞き手・丹内敦子
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 「職業はドイツ人」というマライ・メントラインさん(39)。日本を拠点に日独の通訳・翻訳やテレビコメンテーターを務める一方で、「エヴァンゲリオン」から「芥川賞」まで日本人とガチで議論する――。どうして、そんな自由自在に日本語を操れるのでしょうか。日本語の勉強法や、日本人にもヒントになりそうな外国語を学ぶときのコツをマライさんに聞きました。

マライ・メントラインさん

Marei Mentlein 1983年、ドイツ・キール生まれ。ドイツ公共放送プロデューサーなど肩書多数。兵庫県立姫路飾西高校と早稲田大に留学。2008年にボン大学を卒業。

 ――日本との出会いはどんなきっかけだったのですか?

 「6歳ぐらいのときに読んだ『世界の子どもたち』という絵本です。ステレオタイプに、世界の子どもたちの日常って『こうなんだよ』と紹介するものでした。1980年代の本だったと思いますが、日本についてはアパートの和室で子どもが朝、寝ていた布団を三つに畳んで押し入れに入れてから学校に行き、夜にまた布団を出して敷く。昼間はその部屋は別のスペースとして利用できると書いてありました。『メッチャ楽しいなあ』って思いました」

 「なぜかというと、ドイツの子どもたちはベッドで寝ますが、お泊まり会で友だちが来たときは、マットレスを床に下ろして雑魚寝するんです。日本は布団を床に敷くので『毎日がお泊まり会じゃん!』って。ドキドキ、ワクワクをその絵から感じ、『なんか日本ってすごい』って思いました」

「羊」はもっこりした感じ

 ――民族博物館に行ったことも大きかったとか?

 「伯母が南ドイツにいました。私は北部キールに住んでいたのですが、6歳のころに1人で飛行機に乗って、1週間ぐらい遊びに行きました。伯母は小学校の先生だったので、そのときどこに連れて行くのかを考えてくれたみたいです」

 「伯母と博物館内を回って、アジアコーナーがすごいなって。着物や鎧(よろい)が飾ってあり、子どもだけど『美術品として美しい』と思ったんです。アジアについての説明や、漢字の由来なども書いてありました。なぜかその中に『羊』という字がありました。もっこりして羊っぽい感じもするな、と。ドイツ語で羊はSchaf(シャーフ)と言うのですが、『ドイツ語の筆記体で書いたときと、漢字で書いたときではどっちが速いかな』と実験したのを覚えています」

 ――どっちが速かったのですか?

 「今だったら絶対、漢字のほうが速いんだろうけど、当時の私だったら……ギリ漢字の勝ちかな」

 ――それから日本語の勉強に向かったのでしょうか?

 「まだアジア全体への興味だったんです。11歳のときにユースキャンプに参加してオーストリアに行きました。各国から男女2人ずつが参加して4週間を過ごすというもので、『アジア人がいたらいいなあ』と期待していたら、日本人が来ていたんです。日本人の女の子と部屋が同じで仲良くなって。手紙の交流もちょっと続いて、『絶対いつか日本に行きたい』って、そのとき決定的になったと思います」

 ――いよいよ日本語の勉強を始めたのですか?

 「それから2年ぐらいして始めました。市民講座の日本語教室に入ってみました。私は13、14歳ぐらいで、そのクラスで圧倒的に一番若くて、次に若い人は30代後半か40代でした。教材がヤバいんです(笑)。ビジネスパーソンのための日本語みたいな教材で、『田中さんが商談のために東京に行きました』という世界観でした。『私が勉強したいのと微妙に違うんだけど、日本語だし、まあいいか』みたいな会話でした。テキストは全てローマ字で書かれていました」

 ――そこでどれぐらいの間、勉強したのですか?

 「1年ぐらいでしょうか。15歳になったころだと思いますが、学校にパンフレットが置いてあって、留学先がいろいろ載っていました。ドイツでは16歳の1年間に、英語圏フランス語圏に(勉強に)行く人が多いんです。だけど私は『英語もフランス語も学校でやるから別に行かなくてもいいんだけどな』と。でも、そのパンフには日本に行けると書いてあったんです。『日本の学校に行けるんだ!』と考えが変わりました。親にそれを見せたら、結構ドライに『行けば』って言われて。それで急に決まりました」

 「以前、(地元の)キール新聞に別の高校についての記事が載っていて、それを読んだ親から、日本語クラブがあることを教えてもらいました。なので(来日前にその)日本語クラブに入ってみたほうがよいのでは、という話になり、校長先生がその高校にお願いしてくれて、参加することになりました」

「神経衰弱ゲーム」でひらがな、カタカナを

 ――日本語クラブではどんな勉強を?

 「ここでは高校生のための日…

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