「本館2階に逃げて」直後に濁流 高校生26人を救った大女将の機転
線状降水帯が初めて観測され、観測史上最大の降雨量を観測するなど台風15号による記録的な大雨に見舞われた静岡県内。土砂崩れや浸水被害で行方不明者を含め6人が死傷するなど大きな爪痕を残した。大規模停電も加わり、県民生活に大きな影響が出た。
旅館を始めて57年「こんなこと初めて」
県内では24日にかけて、11市町で計32回の記録的短時間大雨情報が発令され、県中部や西部では9月の月平均降水量を超える降水を観測した。県などのまとめによると、死者は掛川、袋井両市で各1人、行方不明者が川根本町で1人、けが人は浜松市で3人だった。
会社員山崎悟司さん(45)が亡くなった掛川市遊家の土砂崩れ現場では、裏山の土砂が崩れ落ちて住宅に圧力をかけた。近くの女性は「雨や雷の音がすごくて土砂崩れに気づかなかった。消防がきて初めて何かあったと気づいた」。
土砂災害が確認された浜松市天竜区の住宅地「緑恵(りょくけい)台」では、盛り土が起点になった可能性があるとみられている。近くに住む男性は「小石が転がるなどを不安に思う住民らが以前から市に対策を求めていた」と話す。市は被害状況の把握を急ぐとともに、崩壊した土地が造成された経緯を調べるという。
迫り来る危険を察して、子どもたちの命を救った場面も。静岡市中心部から北へ10キロほどの山あいにある油山苑。安倍川支流沿いに立つ旅館建物内に、「ドンドン」と不気味な川音が聞こえ始めたのは23日深夜のことだった。
「一番高い本館2階に」。大…