31年ぶりの記録再び、新時代突入か 最年長と元大関ぶつかる千秋楽

安藤仙一朗
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 鮮やかな電車道だった。玉鷲は頭から当たり、のどわで翔猿を起こす。あっという間に土俵際に追い詰め、威力十分の突きで土俵下へ吹っ飛ばした。

 単独トップの玉鷲が2敗を守った。そして、1差で追う高安は立ち合いに踏み込んでから、豊昇龍を引き落としで破った。

 最年長37歳10カ月での優勝がかかる玉鷲の戴冠(たいかん)か、はたまた元大関高安の悲願成就か――。千秋楽の直接対決を前に、高安は「何度も戦った力士ですから。明日も盛り上げられたら」と静かに闘志を燃やした。

 どちらが栄光を手にしようとも、異例の記録が生まれる。先場所の逸ノ城に続いて、2場所連続の平幕優勝だ。

 1991年の名古屋場所で琴富士、秋場所で琴錦が優勝して以来で、年6場所制になってから史上2例目になる。

 前回は千代の富士、大乃国の2横綱が相次いで引退した年だ。翌92年の初場所貴花田(後の横綱貴乃花)が初優勝を果たし、一つの時代の幕開けにつながった。今回はどうか。

 途中休場した横綱照ノ富士はひざの状態が深刻で、長期休場もあり得る。大関陣では、貴景勝は勝ち越したものの、馬力に陰りが見える。正代は9日目で負け越し、カド番御嶽海は来場所の関脇転落が決まった。

 平幕のベテランによる優勝争いも一興だが、新時代を予感させるものとは言い難い。混戦に終止符を打つ力士は、いつ現れるか。(安藤仙一朗)