「楽な場面で打席に」 ソフトバンク中村晃が明石に贈った3ラン

福岡ソフトバンクホークス

鷹見正之
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 (24日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス6―0千葉ロッテマリーンズ)

 打球の行方を見届けると、ソフトバンクの中村晃はバットを放り投げた。

 2点リードの四回2死一、二塁。初球。真ん中低めの141キロの直球を振り抜き、右翼席へ。試合の流れを引き寄せる6号3ランに「前の打席ではチャンスで三振。何としても取り返したいと思った」。普段はクールな32歳が珍しく感情をはき出した。

 「今日は絶対に勝つ」。そう心に刻んでいた。首位に立つとはいえ、2位オリックスがゲーム差なしでぴたりと追ってくる。前日のロッテ戦は九回に追いつかれ、十回に勝ち越されて痛い1敗を喫していた。

 この日は4学年上の明石健志の「引退試合」だった。新人時代、当時は福岡市内にあった選手寮で同じ釜の飯を食べ、主力だった小久保裕紀2軍監督に連れられて米アリゾナでの自主トレで一緒に汗を流した。「最後の打席は楽な場面で打たせてあげたかった」。代打で登場が予定されていた先輩へのそんな思いも秘めていた。

 気持ちが空回りし、二回2死満塁では空振り三振に倒れていた。再び回ってきた四回の好機。前を打つデスパイネが申告敬遠された。「なめんなって。その気持ちがなくなったら終わりだから」。意地も悔しさもまとめてスタンドに放り込んだ。

 2年ぶりの優勝へマジックは6に減った。残りは7試合。「全部勝たないと厳しい。絶対に勝つ」。常勝チームを支えてきた15年目のベテランは力を込めた。(鷹見正之)